日本創発グループは、優良資産獲得型M&Aを通じて事業領域を広げる方針を示した。規模拡大を主目的にせず、デジタル化など環境変化への対応を急ぐ。技術や顧客、コンテンツ資産を積み上げる。グループのシナジーを生かし、高付加価値サービスの提供につなげる構えだ。
同社はM&Aを成長手段として位置づけ、事業環境の変化に迅速に対応するための「資産の積み上げ」を狙う。強みとして、伝統的な印刷製造技術に加え、什器などのプロダクツを含む多様なデザイン力、3D-CAD・3D-CGを軸にした映像クリエイティブ力、立体音響、AR・VRを含むIT構築力などの専門技術を挙げる。企画から印刷、コンテンツ・プロダクツ制作、オンラインプロモーション、メディア配信、効果測定、運用改善コンサルティングまで、クリエイティブサービスをトータルでカバーできる「創るチカラ」をグループの特徴とする。
日本創発G、M&A継続
新たにグループに加わった企業として、スタジオアウトリガーはIPコンテンツに関するソリューションを展開する。横浜マテリアルはオリジナルのクリスタル記念品を製造・販売し、法人向け周年記念や社内表彰、個人向けのお祝い記念品、ペットメモリアルなどで老舗ブランドとされる。
DNTIは最先端のデジタル技術を活用し、企業のDXやモダナイゼーション(シンプル化とDXの最適融合)を支援する。
フジプラス(子会社のフジプラス・ワン、トライワーク彦根を含む)は1923年創業以来の印刷業を中心に、クリエイティブ、印刷プロダクツ、デジタルコンテンツ、マーケティング分野まで幅広いサービスを手がける。
シルキー・アクトはクリアファイルなどPET・PP素材を中心とした製品を製造する印刷会社で、イベントやライブ向けのグッズ提案にも注力する。自社一貫生産体制や、大手広告代理店などからの直接受注を強みとする。
特許品など商品力を補完
トラストは卓上カレンダーやノベルティの企画・製造を展開し、すべての製品が特許・実用新案を取得するなど独自の商品開発力を強みとする。バークインスタイルが子会社化したウエストマネージメントは、国内在住・海外招聘の外国人モデルに特化したモデルマネジメント事業を展開する。
サンメックは食品・化粧品用ラベルや工業製品用ラベルなど、シール印刷という特殊なカテゴリーの印刷事業を担う。
鈴木松風堂は1893年に京都市で創業し、紙筒(紙管)と紙管状の円形パッケージ製造技術を基盤に、酒類・化粧品・菓子類などの包装資材や化粧箱などを製造する。
紋郎美術工房はFRP(繊維強化プラスチック)を利用し、テーマパークや博覧会施設の大型立体造形物・モニュメント、各種施設の建築装飾の設計・製作・施工など、芸術性の高いニーズに対応する。
EBITDA指標を営業利益軸へ
同社はM&Aを継続していることから、のれん償却や金融費用などを考慮し、主要な経営指標としてEBITDAを重視している。従来は経常利益ベースEBITDA(経常利益+減価償却費+のれん償却額+金融費用)を重要指標としてきた。
一方、事業規模が拡大した持分法適用子会社の連結子会社化を進めたことに伴い、2024年12月期から営業利益ベースEBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額)へ変更した。
2025年12月期の営業利益ベースEBITDAは前期比15.5%減の5,322百万円となり、EBITDAマージンは同1.8ポイント低下して6.1%だった。
原材料費と人件費の増加に加え、グループ企業間の合併再編(ロールアップ)に伴う関連費用が発生し、営業利益は同30.8%減益となった。結果としてEBITDAも減益となった。
関東・中部・関西で体制構築
同社は2021年12月期に兵庫県西宮市で最大規模を誇る小西印刷所を子会社化した。
2022年12月期には大阪市に本社を置くジャパンブロードキャストソリューションズを子会社化し、奈良県を中心に事業展開する大光宣伝も子会社化した。2023年12月期には中部エリアを地盤とする飯島製本を子会社化した。
2024年12月期には大阪府を地盤とするSakae Plusとアイ・ディー・エーを子会社化し、2025年12月期には大阪府を地盤とするフジプラスと、名古屋市に本社を置くトラストを子会社化した。
重点エリアを特定しているわけではないが、結果として関東・中部・関西の各エリア内でシナジー創出を高める体制が構築されつつある。
背景には、クリエイティブサービス業界でデジタル化が進展し、商業印刷物の減少が想定されることがある。
景気低迷局面では企業の販促投資抑制が収益に影響しうるほか、競合激化による受注条件の悪化、技術革新への対応遅れ、情報セキュリティ管理やシステム障害、人材確保・育成、法的規制といった論点も示されている。影響単位でみると、需要面では販促投資の抑制や商業印刷物の減少、供給・運用面では技術革新対応や人材確保、運用・評判面では情報セキュリティ管理やシステム障害がそれぞれリスクになり得る。
事業資産配分を機動修正
同社は対策として、デジタル化の進展などの変化に迅速に対応し、事業資産の配分を適切に変更することで競合優位性の維持を図る方針を示す。
成長分野ではグループシナジーによる高付加価値サービスの提供を推進し、M&Aで優良な技術・顧客・コンテンツ資産を積み上げながら、ITメディアのセールスプロモーション分野やプロダクツ分野への業容拡大を進めるという。
併せて、ニーズの変化に対応するため、商材ポートフォリオ、人材ポートフォリオ、事業ポートフォリオの最適化を柔軟に進めるとしている。
優良資産獲得型M&Aを軸にした体制づくりは、印刷起点のクリエイティブサービスが統合型へ移る流れの中で位置づけられる。
