日本乾溜工業(福岡市東区)が25日、配当予想の修正を発表した。2026年9月期の期末一括配当を従来計画の1株20円から36円に引き上げる。前期(2025年9月期)は1株19円だった。本臨時株主総会での議案承認を条件としている。
修正理由として日本乾溜工業は、麻生と締結した資本業務提携契約の合意内容を挙げた。2026年10月1日から当面10年を経過する時点までは、配当性向を連結当期純利益に対して65%とし、適正な資本構成の実現を目指す。その方針に沿って、26年9月期の期末配当予想を1株36円に改めた。資本業務提携を契機に、株主還元方針と資本政策を同時に見直す内容となっている。
期末配当20円→36円
26年9月期の期末一括配当は、従来計画の1株20円から1株36円へと大幅に増額される。前期は1株19円で、2期連続の増配となる。配当性向を連結当期純利益の65%とする新方針を前提とした見直しで、日本乾溜工業は中長期の資本政策と整合的な株主還元の水準を示した形だ。
同社は同日に、「株式会社FCP18の株式取得(完全子会社化)」「株式会社麻生及び伊藤忠丸紅住商テクノスチール株式会社に対する第三者割当による新株式の発行」「資本業務提携契約の締結」「資本金及び資本準備金の額の減少」「親会社及び主要株主である筆頭株主の異動」にも踏み切る。配当予想の修正は、資本政策やグループ再編を含む一連の施策と同時に示された。
資本面では、第三者割当増資で普通株式587万株余を発行し、約60億円を調達する。割当先は麻生が542万株余、伊藤忠丸紅住商テクノスチールが44万株余となる見通しだ。増資後は麻生が議決権ベースで50.10%を保有し、筆頭株主となる。
同時に、日本乾溜工業は2026年3月25日付で株式会社FCP18の全株式を取得し、完全子会社化した。FCP18は地域投資ファンド「ナイン・ステーツ4投資事業有限責任組合」が保有する会社で、日本乾溜工業の優先株式200万株(発行済株式総数の28.75%)を持っていた。調達資金はFCP18株式取得に充当する方針で、優先株式の処理を通じた資本構成の組み替えと株主還元方針の変更が並行して進む構図となる。
麻生が議決権50.10%
日本乾溜工業と麻生の資本業務提携契約では、2026年10月1日から当面10年を経過する時点まで、配当性向を連結当期純利益の65%とする方針を盛り込んだ。当該期間の経過後は、日本乾溜工業において事業運営に支障が生じない水準の自己資本が確保されていることを前提に、中長期的に配当性向を連結当期純利益に対して50%程度とすることを目標に据える。
協業面では、麻生グループ建設会社との営業連携や技術協力の推進を進める。体制面でも麻生から取締役1名を受け入れ、経営支援を受ける予定だ。麻生は福岡県飯塚市に本社を置く企業グループで、代表は麻生巌氏。日本乾溜工業の代表は兼田智仁氏で、いずれも九州を地盤とし、地域内での資本・業務両面の結び付きが強まる。
グループ再編では、FCP18を吸収合併する手続きも進める。取締役会決議日と吸収合併契約締結日は2026年3月25日で、吸収合併は2026年7月8日を効力発生日として予定する。優先株式保有会社の完全子会社化と吸収合併により、株主構成の整理と組織再編を同一の時間軸で進める。
外部環境では、建設資材や鉄鋼関連の周辺領域で、資本提携を伴う再編が相次いでいる。割当先の一社である伊藤忠丸紅住商テクノスチールは鉄鋼商社で、建設関連の取引網や鋼材供給の分野で強みを持つ。建設投資額が増加基調にあるなか、建設・インフラ投資の拡大を背景に、資本と業務を一体で組み替える動きが九州でも顕在化している。
一方、鉄鋼流通では価格変動の影響が大きく、商社との連携を深めて調達や販売の安定を図る動きが広がる。日本乾溜工業の乾溜事業と麻生グループの建設分野での営業連携に、鉄鋼商社が増資の割当先として加わる枠組みは、資本政策の実行と同時に、取引関係の再構築や協業範囲の具体化を伴う。配当性向65%という株主還元方針の合意が資本業務提携の条項に組み込まれた点も含め、資本・業務・ガバナンスの三位一体での再編が特徴となっている。
一連の合意に伴う26年9月期の配当予想修正は、本臨時株主総会で第三者割当増資に係る議案が原案どおり承認可決されることを条件とする。麻生は資本参加と取締役派遣を通じて経営支援を担い、伊藤忠丸紅住商テクノスチールは第三者割当増資の割当先として参画する。株主総会決議を前提とした増資と配当方針の連動、資本・業務提携に伴う体制変更の運用が当面の焦点となり、配当性向65%の枠組みと第三者割当増資の進捗が同社の経営施策を左右しそうだ。
