株式会社日油(東京都渋谷区)は2月13日、2026年3月期通期の連結業績予想および期末配当予想を修正すると発表した。売上高や利益の見通しを引き上げる一方、一部の医薬事業では需要減を見込む。期末配当は前回予想から増額する方針だ。
同社は第3四半期までの業績進捗と第4四半期の見通しを踏まえ、通期の売上高・経常利益・純利益の予想をそれぞれ上方修正した。化薬事業では防衛関連製品の取引進捗が想定を上回ったことが寄与した。一方、医薬・医療・健康事業では上市の遅れによる需要減を織り込む。今回の修正は為替見通しの見直しも反映したもので、配当については業績と財務状況を総合的に勘案した増配対応とした。
通期売上高2,605億円に引き上げ
通期の売上高予想は前回の2,584億円から2,605億円へと約21億円上方修正した。経常利益は495億円とし、前回比で12億円増加を見込む。親会社株主に帰属する当期純利益は394億円となり、前回予想を12億円上回る見通しだ。売上・利益とも前期比で増収増益の予想となる。
セグメント別の想定では、化薬事業が好調を維持する。防衛関連製品の工事進捗による初度費取引が要因で、営業利益は前回比で約12%増の見込み。
一方、医薬・医療・健康事業は、DDS医薬用製剤原料の出荷停滞が影響し、売上高を前回比約2%下方修正した。機能化学品は横ばい圏となる。
配当予想を年間61円に増額
期末配当は前回予想の26円から9円増の35円に引き上げ、年間配当は61円となる。前期の年間45円と比べると16円の増配だ。利益還元を経営の重要課題と位置づける同社は、配当の維持向上と機動的な自己株式取得・消却の両立を進めている。
今回の判断は業績上振れに対応するもので、財務基盤の健全性と株主還元のバランスをとったかたちだ。
今回想定する為替レートは、前回の1ドル147円、1ユーロ170円からそれぞれ150円、173円に変更した。
円安基調を踏まえた想定により、輸出関連の収益押し上げ効果が一部で見込まれている。
医薬事業の需要鈍化と円安が影
修正の背景には、事業ごとに異なる需給動向がある。
医薬・医療・健康分野では、主要顧客による上市製品の市場展開が想定より遅れた結果、DDS関連原料の出荷ペースが鈍化した。これにより、前回発表値を下回る見込みとなった。
一方、防衛関連を手がける化薬事業では、進捗ペースの加速が顕著だ。履行義務に応じて収益を認識する工事契約において、作業の進展に伴う収益計上が前倒しになった。
為替面では円安傾向が収益押し上げ方向に作用しており、トータルではプラス要因が上回った形である。
中期的な収益安定化が焦点
経営陣は足元の進捗を踏まえ、財務体質の強化と安定配当の継続を掲げている。
今後は化薬分野での防衛関連案件の継続性、医薬分野における需要回復時期、為替動向の3点が注目点となる。今回の上方修正と増配判断は、収益基盤の多様化を反映した動きの一環といえる。