ナイス株式会社(神奈川県横浜市)は2月13日、2026年3月期の連結第3四半期決算(2025年4月~12月)を公表した。売上高は前年同期比10.4%増の1,887億12百万円、営業利益は95.9%増の28億24百万円、経常利益は104.8%増の27億9百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は311.6%増の16億32百万円と、大幅な増益となった。
主力の住宅事業が好調で、販売戸数増加や平均販売価格上昇が利益を押し上げたことが主因だ。建築資材事業は伸び悩んだが、住宅分野の拡大が全体業績の改善に寄与した。会社としては、建材流通を基盤に住宅開発を強化する戦略の成果が出つつあると位置づけている。
売上高1,887億円規模へ拡大
売上高は前年同期の1,708億89百万円から17,822百万円増加し、1,887億12百万円となった。特に住宅事業の売上高は23.4%増の348億85百万円と伸びが際立った。営業利益は倍増の28億円台に乗せ、経常利益も前年同期から約2倍となった。建築資材事業は7.1%増の1,458億32百万円と堅調を維持したが、利益面ではやや減少した。 建材・住宅設備機器などの販売が13.3%増加し、全体の売上拡大を支えた形だ。
一方で、木材販売は前年同期比6.3%減の401億21百万円と減少した。輸入材価格の調整など外部要因が影響したとみられるが、住宅や建設資材の需要の底堅さが全体を押し上げた。
包括利益は3,218百万円(前年同期は592百万円)と約5倍に拡大しており、純資産の底上げにもつながっている。
住宅事業が利益2.3倍に伸長
住宅事業の営業利益は16億80百万円と、前年同期の7億44百万円から125.8%増加した。マンション販売の売上高が前年同期比78.8%増の124億30百万円と大きく伸び、一戸建住宅も微増基調を維持した。販売価格の安定と仕入コストの改善が収益を押し上げた形だ。
また、住宅管理・その他サービスも6.5%増の155億43百万円と増加した。
その他事業も堅調で、売上高は24.5%増の79億94百万円、営業利益は106.7%増の8億66百万円となった。放送事業や建築関連サービスのほか、ソフトウェア開発販売も伸長した。各事業セグメントの利益合計は41億57百万円となり、収益基盤が広がった。
財務体質が改善、純資産6,416億円に
連結貸借対照表では、総資産が前期末比79億57百万円増の1,789億94百万円となった。これは販売用不動産の増加に加え、売上債権や棚卸資産の積み増しによる。負債は1148億33百万円、純資産は641億60百万円と前年末に比べ24億99百万円増加した。自己資本比率は32.7%と、前年度末の32.9%とほぼ同水準を維持している。
資本金は24億円台を保ち、利益剰余金の積み上げにより自己資本が58,541百万円に伸長した。
これにより、1株当たり純資産は4,906円77銭と前年末から約168円増加した。安定した財務基盤のもと、期末配当見通しは年72円(中間28円、期末44円)を据え置いている。
なお、第3四半期までに新井商事ビル管理を連結子会社に加え、スマートパワー株式会社を除外したことが報告されている。
自社株処分で従業員給付制度を創設
ナイスは同日開催の取締役会で、自己株式の取得および処分を決議した。取得上限は317,500株、取得総額は8億円で、2月16日に東京証券取引所の立会外取引(ToSTNeT-3)を通じて実施する。処分株式は629,800株で、3月16日に株式会社日本カストディ銀行(信託E口)を割当先として第三者割当を行う予定だ。
この動きは、2025年11月に決定した「株式給付信託(従業員持株会処分型)」制度の詳細決定に基づくもので、従業員の福利厚生充実と企業価値向上を目的としている。
取得株式は同信託を通じて従業員に付与されるインセンティブ枠として活用される見通しだ。
今後の見通しと注目点
同社は2025年5月に公表した2026年3月期通期業績予想を据え置いており、売上高2,600億円、営業利益48億円、当期純利益30億円を見込む。期末にかけても住宅販売の堅調さが収益を支える構図が続くとみられる。
金利動向や建材価格の変動が需給に影響する可能性もあるが、建築資材と住宅の両輪での安定経営を維持する方針だ。今回の決算は、事業ポートフォリオの転換が収益拡大に反映された形を示したものといえる。