大和証券株式会社は、西日本高速道路株式会社が発行を予定するソーシャルボンドの販売を引き受け、全国の大和証券の窓口を通じて法人投資家に提供する。購入した投資家は「投資表明」を実施でき、後日、社名が西日本高速道路のホームページに掲載されるほか、投資家側のホームページへのリンク掲載も可能とする。調達資金は高速道路の新設・改築や老朽化・災害対応などインフラ更新に充当される見通しで、高速道路会社の資金調達手段の多様化と社会的責任投資(SRI)の受け皿拡大につながる可能性がある。
対象となるのは、西日本高速道路が社会的課題の解決に資する事業の資金調達を目的として発行するソーシャルボンドで、主な使途は新名神高速道路を中心とする高速道路の新設・改築などの投資だ。加えて、加速する道路インフラの老朽化への対応、激甚化・頻発化する自然災害からの復旧・防災投資、逆走防止をはじめとした安全・安心対策といった課題にも資金を振り向ける。
5年債700億円程度
西日本高速道路は2026年度に5年物のソーシャルボンドを発行する計画を示している。発行予定時期は5月、8月、10月、12月、2027年2月を軸とし、個別の起債タイミングは資金需要や金利水準などの市場環境を踏まえて機動的に決定する方針だ。第113回債として、まず2026年5月下旬に約700億円規模の5年債を組成し、同時期に条件を決定するスケジュールを描く。
主幹事会社は野村證券株式会社、みずほ証券株式会社、SMBC日興証券株式会社、大和証券株式会社の4社で、国内大手証券がそろって引き受け団を形成する。格付けは格付投資情報センター(R&I)がAA+、日本格付研究所(JCR)がAAA、ムーディーズ・インベスターズ・サービスがA1をそれぞれ付与しており、高格付けのソーシャルボンドとして機関投資家の需要を見込む。
西日本高速道路は2021年9月に初めてソーシャルボンドを発行して以降、全国の年金基金や金融機関、生保など多様な投資家から投資表明が寄せられてきた。2026年2月末時点の投資表明件数は493件に達し、ESG(環境・社会・企業統治)投資の受け皿としての存在感を高めている。
同社は日本道路公団の分割民営化に伴い2005年10月に設立され、2025年10月に創立20年の節目を迎えた。高速道路事業やサービスエリア(SA)・パーキングエリア(PA)事業などを通じて西日本地域の経済成長と生活水準の向上に貢献することを使命に掲げる。良好な環境の保全・形成や、道路技術・人材交流を通じた国際社会への貢献なども経営課題として位置づけ、多様なステークホルダーとの対話を深めている。
事業面では、日常的な保全サービスに加え、新名神高速道路をはじめとする新設・改築事業、渋滞ボトルネックの解消を目的とした6車線化・4車線化プロジェクト、高速道路リニューアルプロジェクト、橋梁やトンネルの耐震補強事業、SA・PA等の関連ビジネスを進めている。現行の中期経営計画「進化2025」は2025年度で最終年度を迎え、2026年度からは老朽インフラ更新需要やGX(グリーントランスフォーメーション)投資、デジタル技術の活用などを織り込んだ新たな中期経営計画への切り替えが控える。今回のソーシャルボンド発行は、こうした中長期投資を支える安定調達力の確保という意味合いも持つ。
主幹事4社で販売
ソーシャルボンドの枠組みとして西日本高速道路が策定したソーシャル・ファイナンス・フレームワークは、国際資本市場協会(ICMA)が定義するソーシャルボンド原則に沿って設計されており、その適合性についてR&Iからセカンドオピニオンの取得を済ませている。資金使途は、社会的課題の解決に資するソーシャルプロジェクトに限定される構成で、「加速化するインフラの老朽化」「激甚化・頻発化する自然災害」「人口減少等による地域社会の変化」「高速道路における安全・安心の確保」を重点テーマに掲げる。具体的には、高速道路ネットワークの長期保全や計画的修繕、災害復旧、新設・改築事業を対象プロジェクトとして体系的に整理している。
投資家の関与については、ESG志向の強い機関投資家のニーズを踏まえ、投資表明制度を用意する。本債券を購入した投資家は、ソーシャルボンドへの投資を対外的に示すことができ、名称(法人名)は西日本高速道路のホームページに一覧で掲載される。投資家自身のホームページへのリンク掲載も可能で、インフラ投資を通じた社会貢献を可視化しやすい設計とした。発行時期や発行条件は今後の資金需要や金利動向、ESG債市場の投資家需要を見極めつつ柔軟に調整していく構えで、調達コストの最適化と社会的インパクトの最大化の両立を狙う。
