根本酒造株式会社(茨城県常陸大宮市)は3月3日、俳優の小駒ゆかが取締役社長に就任したと発表した。新たな経営体制へ移行する。就任に伴う外部流出や拡散といった影響は示していない。公式な対応として新体制を公表した。老舗酒蔵の事業承継と経営再建の進め方に波及する可能性がある。
取締役社長就任(小駒ゆか)は、根本酒造が自社製造に注力する新ブランド「華世 -Kaséi-」の成長と歩調を合わせ、経営のバトンを引き継ぐ人事だ。小駒はブランドの顔として前面に立ち、クリエイティブ面での発信強化を経営判断に接続する役割を担う。根本酒造は、地方の老舗酒蔵が抱える発信力不足の課題に対し、異分野人材の登用で打ち手を明確化した位置づけとなる。
根本酒造が社長交代
根本酒造は2026年3月3日付で、小駒ゆかが取締役社長に就任した。代表取締役は寺田祐貴が務める。
小駒は茨城県出身で、俳優として舞台、映画、CMなどに出演してきた経歴を持つ。根本酒造は、小駒が「ブランドの顔」としてトップに立つ新体制へ移行するとした。
小駒は2025年12月にCCO(Chief Creative Officer)として参画し、クリエイティブ面を中心に支援してきた。
根本酒造は「素晴らしい酒を現代の国内外の人々へ届ける発信力の不足」を課題に挙げ、小駒の「伝える力」や語学力を生かすと説明する。新製品のリリースを成功させた段階で、経営のバトンを受け継ぐ判断に至ったとしている。
ICC FUKUOKA 2026へ出場
小駒は社長就任の初日にあたる3月3日(火)と、翌4日(水)に開催される「ICC FUKUOKA 2026」に参加する。同カンファレンス内の「ICC SAKE AWARD」へ出場し、新社長自らが「華世 -Kaséi-」の魅力と再建への思いをプレゼンテーションする。
根本酒造は、気鋭の酒蔵が集う場での登壇を「初陣」と位置づけた。
根本酒造は、小駒が異分野から参入した点を明示しつつ、固定概念にとらわれない視点を強調する。発信面の課題認識と、ブランドを前面に押し出す体制転換を同時に進める構図で、経営体制の刷新を対外的に示す機会となる。
梅リキュール華世を本格展開
根本酒造が次世代を担う新ブランドとして開発したのが、ジャパニーズ・プレミアム・クラフトリキュール「華世 -Kaséi-」だ。
「日常から、華ひらく」をコンセプトに、伝統的な梅酒を国内外のバーシーンでの利用を想定した本格リキュールへ位置づける。製法はあらごし製法を掲げ、紀州南高梅を1本あたり15個分使用するとしている。
酒造業界人からの受け止めとして、後味の爽やかな余韻や梅の存在感、手作業で潰す手間による味と香りの質に言及した声があるという。
根本酒造は、こうした評価を踏まえながら、小駒が国内外に届ける役割を担い、ブランド成長と再建を同時に進める方針を示した。本文中で焦点となるのは、ブランド発信を担う人材配置が、商品開発・事業承継とどう接続するかだ。
直販EC軸にD2C強化
根本酒造は2025年12月、顧客と直接つながる手段として公式オンラインストアを立ち上げた。
今後は自社ECサイトを軸としたD2Cの形を強化し、全国でのファン拡大を掲げる。小駒はCCO就任と同時に公式ECサイト立ち上げに尽力したとしており、発信と販路の設計を経営領域に取り込む流れが読み取れる。
同社は「第二創業」を加速させるとして、「華世 -Kaséi-」のフレーバー展開、新領域となる「Blended Sake」の開発、代表銘柄「久慈の山」のリブランディングの各プロジェクトが水面下で進行中だと明らかにした。詳細は準備が整い次第、順次発表するとしている。
取引管理や法人営業の観点では、公式オンラインストアを軸とする提供形態の位置づけと、今後公表予定の新領域開発や既存銘柄のリブランディングが、供給・運用の責任分界にどう反映されるかが注目点となる。
