徳島県(知事:後藤田正純)、日本電気株式会社(東京都港区、代表執行役社長 兼CEO:森田隆之、以下NEC)、株式会社電脳交通(徳島県徳島市、代表取締役社長:近藤洋祐、以下電脳交通)、株式会社旅サポート(徳島県鳴門市、代表取締役:山室真一、以下きんときタクシー)は、徳島県鳴門市西部を中心とするエリアで、ハイブリッド配車連携型自動運転タクシー実証運行を開始した。実施期間は2026年3月31日までで、道の駅「くるくるなると」で出発セレモニーと試乗会が行われた。
今回の実証は、NECの自動運転サービスプラットフォームと電脳交通の配車システム「DS」を統合し、通常のタクシーと自動運転タクシーを同一センターで配車する仕組みを導入するもの。きんときタクシーが鳴門市西部から徳島阿波おどり空港までを走行し、道路運送車両法に基づく自動運転レベル2での運行を行う。徳島県は将来的なレベル4運行の実装を目指しており、実証は県内の公共交通維持策の一環と位置づけられる。
鳴門市西部で1台運行
実証に使用される車両は1台で、韓国・現代自動車の「IONIQ5」にAutonomous A2Z Co., Ltd.(A2Z)の自動運転機器を搭載する。A2Zは韓国内17地域中15地域での累計約90万キロの走行実績があり、2025年のグローバル自動運転技術ランキングで世界7位に入っている。今回の徳島での採用は日本初の試みとなる。
この取り組みは2025年度の国土交通省「地域公共交通確保維持改善事業」にも採択されており、徳島県、NEC、電脳交通の3者連携により、タクシー分野でのドライバー不足解消や公共交通維持を検証する枠組みにあたる。
実証運行は平日限定で実施され、利用者は通常のタクシー同様に電話での配車依頼が可能とされている。配車受付は電脳交通のコミュニケーションセンターが担い、受信データが自動運転車両に直接送られる設計をとる。
NECと電脳交通が運行体制構築
NECは自動運転プラットフォームの開発と運行システム提供を担い、電脳交通は配車システムおよびオペレーション運営を担う。きんときタクシーは実際の運行事業者として乗務者付きレベル2自動運転を行う体制を採用した。徳島県は全体調整を行い、県内の公共交通維持策とする。
自動運転の遠隔監視センターは電脳交通のコミュニケーションセンター内に設置され、運行中の車両状況や異常有無をモニタリングする。運行上遠隔監視は必須要件ではないが、将来のレベル4化を見据えた検証要素として導入されている。
また、A2Zの日本国内展開にあたっては兼松株式会社が技術・事業面で支援する形となり、NECと電脳交通を含む5者による国際連携型の体制が整えられた。
今回の仕組みは、通常の有人車両と自動運転車両を一元管理するハイブリッド型オペレーションとして運用され、特許出願手続き中(2026年2月6日時点)である。実証運行は数量限定の形で実施され、今回の期間終了後の再実施については現時点で明示されていない。すべての配車を電話受付とし、オンライン予約方式は採用していない。
遠隔監視機能は自動運転車両の走行支援に限定され、運転操作自体は乗車中のドライバーが担う設計を前提とする。また、NECと電脳交通は同システム構成が既存業務プロセスを変えず運用できることを確認している。
本実証が日本国内でA2Z技術を搭載した初の公共交通運行事例となることから、今後の県内実用化検証の基礎となる枠組みを形成する意義があると位置づけられる。徳島県の生活環境部交通政策課、NECモビリティソリューション統括部、電脳交通事業開発部の3部門が問い合わせ窓口を担当する体制が整えられている。
今回の実証は、国の補助対象事業として地方タクシー事業者による自動運転導入モデルの構築を目的にしており、オペレーションの検証とレベル4導入前提の制度運用確認を同時に行う枠組みにあたる。
NECはこれまでも地方公共交通に関わるデジタル運行支援に携わってきたが、配車連携を含むハイブリッド型自動運転オペレーション実証を行うのは今回が初とされる。
事業実施期間中、運行データや遠隔監視記録を基に運行支援の検証が行われる予定であり、県と3社による現地連携体制下で進められる。行政主導の試験事業としては、地域タクシー事業者への自動運転導入条件を整理する初の事例となる。今回の実証結果は、今後の徳島県内公共交通における自動運転導入検討の一環として扱われる。