エヌ・デーソフトウェア株式会社(山形県南陽市)は、介護現場向けに無償提供中のAI音声アシスタント「ほのぼのVoice」に、有償機能「ほのぼのVoice インカムオプション」を追加し、提供を始めた。職員間の音声通話と会話の自動テキスト保存を可能にし、追加機材のコストを抑えつつ連携を強める。
新たに加わったインカムオプションは、職員同士の通話を「ほのぼのVoice」上で扱えるようにし、通話内容をリアルタイムでテキスト化してチャット形式で自動保存する。スマートフォンに触れずに、音声コマンドやヘッドセットのボタン操作で会話できる点も特徴だ。介護記録の入力・確認とインカム機能を同一アプリ上で利用できるようにし、介護現場のコミュニケーション課題の解決を狙う。
3月11日提供開始
「ほのぼのVoice インカムオプション」の提供開始日は2026年3月11日とした。通話は全体へのグループ通話に加え、特定の職員に対する1対1の「割り込み通話」機能も搭載する。通話内容は自動保存され、過去30日分の音声履歴を再生できるとしている。
インカムオプションは「ほのぼのVoice」の基盤を活用する。2025年5月のリリース以降に導入が進む「ほのぼのVoice」は、介護現場の日々の業務を効率化する目的で開発されたAI音声アシスタントで、音声指示により手入力不要でケア記録の入力やデータの閲覧ができるとしており、音声入力機能とリアルタイム認識を特徴に挙げている。ケア総合記録システム「ほのぼのNEXT」と連携し、利用者情報やバイタル記録を音声指示で扱える点も打ち出してきた。
料金面では、「ほのぼのVoice」は無償ツールとして提供しつつ、初期設定費などが必要になる場合がある。インカムオプションは有償とし、基本利用料と初期設定費などを含むとしている。
NDソフトウェアの主力製品である「ほのぼの」シリーズは国内トップクラスのシェアを持つ。福祉・医療関連ソフトウェアの企画・開発・販売を手がけ、SOMPOホールディングスの100%子会社でもある。
会話を自動保存
開発の背景には、慢性的な人手不足が続く介護現場で、入浴介助や排泄介助など両手がふさがる状況ではスマートフォンの操作が困難になりやすいという事情がある。NDソフトウェアは「ほのぼのVoice」の音声認識技術を応用し、「ハンズフリーでの会話」と「データベースとしての記録保存」を一体化したインカムオプションを開発した。手が離せない場面でも連携できる手段と、会話内容を後から確認できる形で残す運用の必要性に対応する。
運用面では、音声コマンドやヘッドセット操作によりスマートフォンに触れずに通話する形をとる。通話内容はリアルタイムでテキスト化し、チャット形式で自動保存されるとしており、過去30日分の音声履歴の再生も可能とする。グループ通話に加え、個別の割り込み通話を用意し、利用条件や対象範囲などの詳細は各営業拠点への問い合わせとしている。
介護ソフト市場では100種類以上の製品が存在するとされ、クラウドASP型の提供形態が主流になっている。現場DXの進展で、記録・請求・伝送といった基幹業務のシステム導入が広がる一方、現場内の連絡手段の整備も論点となっている。インカムの活用は、周波数設定で干渉を避ける運用や充電台の管理といった取り回しを含め、チーム内の連絡遅延を減らす目的で広がっているとされる。
こうしたなか、NDソフトウェアは「ほのぼのVoice」上でケア記録の入力・確認からインカム機能までを一元的に利用できる点を強調し、記録用端末とインカム専用機の2台持ちからの移行も想定する。従来のインカムで課題になりやすい「消える音声」に対し、会話の自動テキスト化と自動保存を通じて、介護現場のコミュニケーションと記録業務の双方を高度化する狙いだ。
