南海電気鉄道は4月16日、鉄道事業分社化の取り組みに伴い、2026年4月1日付でグループ体制を刷新し「新生NANKAIグループ」を始動すると発表した。商号変更と会社分割を実施し、鉄道事業は新たな「南海電気鉄道株式会社」に承継する。影響はグループの経営管理と鉄道運営の枠組みに及ぶ。外部流出や拡散といった事案は示されていない。新体制の下で、沿線づくりと運営高度化の推進が企業活動の軸になる。
2026年4月1日付で、現在の南海電気鉄道は商号を「株式会社NANKAI」に変更し、持株会社としてグループ経営の中核を担う。同日付で「南海電気鉄道分割準備株式会社」が「南海電気鉄道株式会社」に商号変更し、鉄道事業を承継する。南海電気鉄道は、段階的に進めてきた鉄道事業分社化の一環として位置づけ、グループの役割分担や理念を含めた全体像を示した。
南海が4/1新体制始動
今回の体制変更は、鉄道事業を分社化する方針に沿った措置だ。
2024年10月に鉄道事業の分社化方針を公表し、2025年1月に分割準備会社を設立した。2025年3月には吸収分割契約の締結と商号変更を決定しており、2026年4月1日の新体制始動を前に、グループの将来像を整理して示した形となる。
新体制では「株式会社NANKAI」が持株会社となり、グループ経営の中核を担う。グループ全体で取り組む「選ばれ続ける沿線づくり」を推進する司令塔として、各社の事業成長と運営高度化を支援するコーポレート機能を強化するとした。
あわせて、グループ経営の中核を担うNANKAIのロゴと、鉄道事業を担う南海電鉄のロゴも示している。
NANKAIが不動産拡大へ
持株会社となるNANKAIは、不動産事業の業容拡大と競争力強化を進める方針を掲げた。
鉄道・不動産に次ぐ新たな事業の創造にも取り組むとしており、資源配分やグループ横断の取り組みを担う機能を厚くする方向性を明確にした。今回の体制移行は、鉄道と非鉄道を分けたうえで、グループとしての成長投資や事業創造を進める枠組みの再設計といえる。
南海電鉄は運営改革推進
鉄道事業を担う南海電鉄は、安全・安心な輸送サービスを将来にわたり持続的に提供することをめざす。
経営体制をコンパクト化して意思決定を迅速化し、働き方改革やテクノロジー活用による運営改革、サステナブル投資の推進などを通じて持続的な成長を実現するとしている。分社化により、鉄道運営に関する意思決定と実行の速度を高める狙いがにじむ。
新理念制定と新経営体制
グループ共通の理念として、新たな社会的使命や行動指針も制定した。社会的使命は「地域を起点に人々と向き合い、『しあわせなくらし』を育み、広げ、未来へとつなげます」とし、「安全・安心の徹底、環境重視、コンプライアンスの徹底、顧客志向の追求」などを経営規範として掲げた。
鉄道会社としての南海電鉄も新たなミッション・ビジョン・バリュー(MVV)を制定し、社会的使命を「えき・まち・人、『つながるしあわせ』を届けます」、ありたい姿を「安全・安心を礎に、愛され続ける鉄道」としたうえで、「安全・安心、お客さま起点の考動、全社一体感の醸成、人財育成」などを経営方針として示した。
新体制の人事では、2026年4月1日付で、NANKAI代表取締役社長兼COOに岡嶋信行氏、NANKAI代表取締役会長兼CEO兼南海電鉄代表取締役会長に遠北光彦氏、南海電鉄代表取締役社長に梶谷知志氏が就任する予定だ。
新生NANKAIグループの始動を象徴するビジュアルとトップメッセージは、特設ウェブサイトで公開している。今回の体制移行は、鉄道事業分社化を軸に、グループ経営と鉄道運営の役割分担を明確にする流れに位置づく。
