株式会社ナカノフドー建設(東京都千代田区)は2月13日、2026年3月期の連結業績および配当予想を上方修正した。売上高や利益のすべての項目で従来予想を上回る見通しとなり、期末配当金も8円増の1株当たり30円へ引き上げる。海外工事の進捗が好調で、利益面での改善が見込まれている。
同社は、国内外の建設事業で採算性の向上が見込まれることを理由に修正を決定した。とくにシンガポールやマレーシアでの大型案件が当初想定を上回るペースで進行しており、海外部門が増収に寄与する。一方、国内では一部現場での着工遅れが発生しているものの、設計変更への対応や協力会社との協働体制強化でコストを抑制している。今回の改定は、中期経営計画「中計86」に沿った利益還元方針に基づく対応と位置づけている。
通期予想を売上高1380億円に修正
修正後の2026年3月期連結業績予想は、売上高を1380億円、営業利益を39億円、経常利益を44億円、純利益を34億50百万円とした。いずれも前回予想に比べ上方修正され、特に純利益は32.7%増と伸び率が最も大きい。前期実績の売上高1105億38百万円と比べても大幅な増加を見込む。1株当たり純利益は100円40銭となり、前回から約25円の改善となる。
利益改善の要因は、海外工事での原価低減と国内工事での施工効率化にある。大型現場での仮設・躯体工法の合理化が進み、資材価格高騰の影響を吸収しているという。一般管理費は人件費増で拡大するものの、営業利益・経常利益ともに前回予想を上回る見込みだ。こうした採算改善が配当方針の見直しにも反映されている。
配当方針は成長投資と両立
期末配当金の予想は1株当たり30円とし、従来より8円の増配となる。同社は、株主への利益還元と財務体質の強化の両立を掲げる。中期経営計画ではDOE(株主資本配当率)1.5%を下限、配当性向30%を目安とし、業績や将来見通しを総合的に勘案して配当額を決定する考えだ。今回の修正もこの方針に沿ったもので、6月開催予定の定時株主総会で議決後に正式決定する予定である。
前期(2025年3月期)の期末配当は22円であり、今回の改定により年間ベースでの配当額は大幅に上昇する。
経営層は、財務の健全性を損なうことなく還元強化を進める姿勢を示した。
海外案件が収益押し上げ 国内は遅れ対応
今回の収益修正の背景には、海外工事の好調さがある。シンガポールやマレーシアでの大型建築案件が計画より順調に推移し、売上高拡大をけん引している。特にアジア市場での施工ノウハウ蓄積が進んでおり、現地協力会社との連携で原価低減効果を高めていることが寄与している。
一方、国内工事では一部で地中障害や設計変更による工期のずれが発生している。
ただし、協力会社との調整や施工技術の改良により、工事採算を確保した。資材価格の高騰が長期化する中で、同社は価格転嫁と効率化を並行して進めており、コスト管理の厳格化が今後の収益安定に直結する構造となっている。
中期計画での還元姿勢を維持
飯塚隆社長は、現材の中期経営計画(中計86)のもとで利益成長と株主還元の両立を進める姿勢を改めて明確にした。今回の上方修正は、収益構造の改善と海外事業の安定化を反映したものと位置づけており、今後も財務基盤の強化と成長投資を両立させる方針だ。
監査手続を経て正式な決算発表と配当決定が行われるのは6月の株主総会後となる。海外プロジェクトが想定通りに進行すれば、安定的な利益配分を持続できる体制構築が進むとみられる。建設業界全体で資材高と人手不足の影響が続くなか、採算改善を伴う海外展開が今後の注目点となる。