ナハトは全社AI戦略「ALL-IN AI PROJECT」を始動する。影響は全社の人事・広報・ITの各業務に及び、公式対応として新体制とプロジェクト方針を示し、業務の再設計を通じて新事業創出や人材育成の進め方にも波及させる。
ナハトは田口氏を執行責任を持つ取締役に迎え、人事戦略・広報・ITの3領域を田口氏が管掌する体制に切り替える。狙いはAIによる業務効率化にとどめず、AIで既存業務を圧縮して捻出した「時間・人・金」を新規事業の創出と次世代CXO人材の輩出に再配分することだ。今回の取り組みは、ナハトが掲げる2040年の長期構想に向けた「第二創業期」の組織運営上の枠組みとして位置づける。
ナハトが全社AI戦略始動
ナハトは新体制の軸に「ALL-IN AI PROJECT」を据え、「構造」のアップデートを進める。プロジェクトの目的は単なる省力化ではなく、AIの活用で既存業務を高速化し、浮いた経営資源を新規事業と人材育成へ振り向ける点にある。
ナハトは「事業を創るのは、常に人の意志である」とし、能力の補完はAIに委ね、人は「情熱・共感・感性」など人間ならではの価値に注力できる環境づくりを掲げた。
田口氏は人事・組織構築の知見とIT戦略を組み合わせ、テクノロジーによって「人の本来の可能性」を解放する考えを示す。人とAIが対立するのではなく融合することで、人の熱量と可能性を最大化する組織を目指すという。
ナハトはAI導入を「AIの会社」への転換と同義には置かず、組織運営の再設計の手段として扱う方針だ。
2040年構想に第二創業期
ナハトはミッションに「日本のマーケティング力を底上げする」、ビジョンに「次世代マーケティングカンパニー」を定め、2040年までに売上2,000億円、従業員3,000人、子会社50社、CXO人材200人という長期構想を掲げる。
近年はSNSマーケティングや広告領域にとどまらず、D2C事業、経営管理、M&Aなど多角的な新規事業の立ち上げと組織改革を同時に進めてきた。
事業の拡大と経営課題の多様化を踏まえ、長期構想を「確固たるもの」にするため、これまで社外取締役として経営に参画していた田口氏を、執行責任を持つ取締役として迎え入れた。ナハトは、支援会社としてクライアント企業のプロモーション戦略の策定・実行を担う側面と、自社で商品開発・運営を行う事業会社としての側面を併せ持つと説明しており、複数事業の並走が組織設計の論点になりやすい構図でもある。
人事・広報・ITを田口氏管掌
田口氏は2025年からナハトに参画し、社外取締役として主に人事戦略本部のエグゼクティブフェローを務め、採用・育成体制の構築やコーポレートブランディングの刷新に注力してきた。
取締役就任により、人事・広報・ITの領域を横断しながら、次世代CXO人材が次々と生まれる土壌をつくる役割を担う。
経歴面では、株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア株式会社)を経て2003年に株式会社サイバーエージェントに入社し、人事責任者や子会社代表を歴任した。2013年の独立後は、株式会社エンリッション常務取締役COO、シングラー株式会社執行役員CPO、株式会社NTTドコモグループ会社CMDO、ロート製薬株式会社グループ会社CDOなどで、経営・人事・ブランド戦略に関わる要職を担ってきた。
ナハトは、こうした組織基盤づくりと変革実行の経験を、今回の構造改革に接続させる狙いをにじませる。
経営陣が意思決定高速化
田口氏はコメントで、AIの進化により仕事の進め方や組織のあり方を「大きくアップデートできる時代」だとしたうえで、無駄や非効率を減らして生まれた時間・人・資源を、人にしかできない挑戦や創造、新しい事業づくりに再配分していく考えを示した。事業を生み出すのは最後は人であり、情熱や意思、共感、感性、巻き込む力が競争力の中心になるという整理だ。
安達友基代表取締役は、ナハトが2040年の長期構想に向けた変革期にあると説明し、田口氏の取締役就任を「最大の推進力」と表現した。田口氏の強みとして、人事・組織・ブランディングの知見に加え、現場を巻き込みながら変革を実行しきる力を挙げ、意思決定の質とスピードを高め、「ALL-IN AI PROJECT」による構造改革を進化させる考えを示した。
実行責任の所在が注目点
今後の注目点は、経営執行体制のもとで、田口氏が管掌する人事・広報・ITの横断領域において、AI活用による業務圧縮と資源再配分をどの範囲まで制度・運用に落とし込むかだ。取引や協業の実務では、採用・育成体制や社内運用の変更が外部対応に接続する局面もあり得るため、申込・提供・運営のどこに責任を置く設計かが焦点となる。
また、ナハトが掲げる長期構想は売上2,000億円や子会社50社といった事業拡張を伴うため、複線化する事業運営と意思決定を、AIと人の役割分担でどう一体運用するかが、第二創業期の組織設計の流れの中で位置づけられる。
