ミュージックセキュリティーズ株式会社(東京都千代田区)は、「Japan Financial Innovation Award 2026(JFIA 2026)」で、同社を含む4社が優秀賞を受賞した。受賞対象は「チャリチャリ 地域インフラ投資ファンド」で、電動アシスト自転車を裏付け資産とする商品だ。シェアサイクルを起点とした資金の流れの組成に波及する可能性がある。
受賞は、チャリチャリ株式会社、三菱UFJ信託銀行株式会社、インパクトサークル株式会社、ミュージックセキュリティーズ株式会社の4社によるものだ。受賞対象の「チャリチャリ 地域インフラ投資ファンド」は、国内初の試みとされ、個人及び法人投資家を対象に、電動アシスト自転車を信託財産とする動産信託スキームを組成した点を特徴に挙げる。チャリチャリが2025年に福岡エリアで新たに導入した電動アシスト自転車を裏付けにし、募集を行う枠組みを採った。ミュージックセキュリティーズにとっては、事業投資型クラウドファンディング「セキュリテ」の運営を通じた商品組成の一環となる。
福岡で1,100台裏付け
受賞対象のファンドは、チャリチャリが2025年に福岡エリアで新たに導入した電動アシスト自転車の動産信託を裏付けとして組成した。裏付け資産は電動アシスト自転車とされ、同ファンドでは1,100台を対象にした。募集は2025年に開始し、目標額4,000万円を10日で満額達成したという。
ミュージックセキュリティーズは、地域の交通課題の解決や持続可能なまちづくりに対して、地域の資本で応援する「金融の地産地消」を実現する枠組みだと説明する。今回の受賞は、地域の交通課題解決に資するシェアサイクルサービスを起点に、新しい金融モデルを協業各社の強みを活かして構築した点が評価されたとしている。
表彰制度の主催は株式会社FINOLABで、「JFIA 2026」は2020年に新設された表彰制度と説明されている。FINOLABは2018年設立のフィンテックアクセラレータで、制度開始以降、オープンイノベーション事例を約50件表彰してきたとしている。
ミュージックセキュリティーズは2017年から「セキュリテ」を運営し、2025年までに累計募集額約400億円、成立案件約500件に達したとしている。地域課題解決型ファンドを複数組成してきた経緯があり、2024年には「地域未来投資ファンド」シリーズの展開にも触れている。今回の取り組みは、同社が既存の事業投資型クラウドファンディングの枠組みを用いながら、裏付け資産を電動アシスト自転車の動産信託に置いた点が特徴となる。
市場環境では、国土交通省が2024年にシェアサイクル市場規模を約500億円(前年比20%増)と示し、電動アシスト自転車の導入台数は全国で約10万台とされる。福岡市のシェアは約15%とされ、都市部の移動手段の多様化に関する議論と接点を持つ。資金面では、金融庁が2025年にクラウドファンディング取扱高を約1兆円(前年比30%増、第二種金融商品取引業ベース)と整理する一方、動産信託スキームの組成件数は50件未満、地域インフラ特化は2%とされ、今回の枠組みが「動産信託」と「地域インフラ」を組み合わせた事例に位置づく余地がある。
4社の役割分担が焦点
プロジェクトは、チャリチャリのシェアサイクルサービスと、動産信託スキームを組み合わせる形をとっている。受賞対象は、電動アシスト自転車を信託財産とする動産信託スキームを用い、個人及び法人投資家を対象に組成した点にある。ミュージックセキュリティーズは枠組みの説明において「金融の地産地消」を掲げ、チャリチャリが福岡エリアで新たに導入した電動アシスト自転車を裏付けに募集を行う構成を示した。
JFIA 2026は、金融分野における情報通信技術を活用した先進的な取組みの促進や、業界内でのベストプラクティス共有、企業グループや業種の垣根を超えたオープンイノベーションの拡大を願い、2020年に新設されたとされる。今回の受賞は、シェアサイクルを起点にした資金の流れの組成を、4社協業の枠組みで提示した点が評価対象になった形となる。
注目点は、電動アシスト自転車を信託財産とする動産信託スキームを用いた個人及び法人投資家向けの組成が、どの範囲で適用される設計になっているかにある。取引管理・法人営業の観点では、裏付け資産が福岡エリアで導入した電動アシスト自転車である点を前提に、対象資産の範囲と関与企業の役割分担を個別案件ごとに確認する運用が残る。
