モスバーガーを運営する株式会社モスフードサービス(モスフードサービス)は、2026年3月期第3四半期の連結決算で増収増益となった。既存店売上高も前年同期を上回った。外部流出や拡散といった事案は確認されていない。業績に関する公式な情報開示が進むことで、外食各社の価格・価値設計やコスト構造の見方に影響を与えそうだ。
モスフードサービスは、2026年3月期第3四半期の連結業績で売上高781億6400万円(前年同期比7.4%増)、営業利益61億5100万円(同47.3%増)となった。店舗実績では既存店売上高110.4%など、前年同期を上回った。コロナ禍を機に外食に求められる価値が変わった点を踏まえ、モスバーガーの「ちょっと高い」という印象の受け止められ方が変化してきたことが、今回の伸長の文脈にある。
売上高781億円、利益も増
2026年3月期第3四半期の連結売上高は781億6400万円で、前年同期比7.4%増となった。営業利益は61億5100万円で、前年同期比47.3%増だった。店舗実績も既存店売上高110.4%など、前年同期を上回って推移した。
業績の伸びを受け、ハンバーガーチェーンの勢力図にも変化が起きているとの見方が出ている。
最大手マクドナルドに続く位置づけのモスバーガーが、コロナ禍を機に業績を伸ばしている点が、足元の特徴といえる。
外食価値の変化が追い風
モスバーガーは、契約農家から仕入れる野菜へのこだわりなどが知られる一方、「マックに比べてちょっと高い」という印象で捉えられることも多かった。もっともこのところ、その状況に変化が現れているという。商品の企画・開発に携わってきたモスフードサービス取締役上席執行役員・商品本部長の安藤芳徳氏への取材では、コロナ禍以降の消費者心理の変化が語られている。
コロナ禍で外食機会が減ったことで、外食に求められる価値が変わった。「どうせお金や時間を使うならちょっと贅沢をしたい」と考える人が増えたという。
さらに物価高を背景に消費控えや外食控えが起こり、その傾向は強まっていると考えられる。もともと安かったものに高いお金を払うより、もともと高かったほうを選ぶ心理が働く、という整理だ。
モス原価率52%台の重み
相対的に「ちょっと高い」イメージがあったモスのコストパフォーマンスが良く感じられるようになっている可能性がある。人気商品の比較では、ビッグマックは単品500円、セット770円(2月25日にそれぞれ480円、750円から値上げ)で、モスバーガーは単品470円、レギュラーセットにすると920円だ。マクドナルドが値上げしたことで、お得さに差が無くなっている可能性を指摘する。
コスト構造を示す材料として、売上高に占める売上原価の水準も示されている。モスは約52.3%(2026年3月期の半期報告書より算出)で、マクドナルドは売上原価のうち材料費が約37.2%(直営の場合、2025年12月期の半期報告書)とされる。モスの数字は連結の原価率で、8割を占めるフランチャイズ店への卸売も対象に含むため単純比較はできないが、モスの原価率がマクドナルドを大きく上回っている点は読み取れる。
背景には、飲食店が採算をとるためには原価率を3割に抑えるべしという業界の常識があるとされ、一般的な水準とのギャップが運用上の論点になり得る。
既存店110%が示す継続性
今後の注目点は、既存店売上高が110.4%と前年同期を上回った実績が、外食価値の変化と物価高局面の消費行動の中でどのように位置づくかだ。
モスフードサービスの増収増益と高原価率を併せて見ると、値ごろ感の受け止められ方とコスト構造の両面が、同社の成長局面を読み解く軸となっている。
