株式会社三井住友銀行(東京都千代田区)は、神奈川県伊勢原市の「SMBCの森」で発生するヒノキの間伐材から抽出したヒノキオイルを活用し、フレグランスカードを制作した。エステー株式会社(東京都新宿区)との共同開発によるもので、森林保全活動の一環として実施された。間伐の過程で発生する枝葉を「香り」という新たな体験価値に転換する取り組みだ。
三井住友銀行は、2024年5月に取得した自社保有林「SMBCの森」での適切な森林管理を通じた資源活用を進めている。今回の企画では、エステーが保有する香りの抽出・創香技術と組み合わせ、銀行の外部向けコミュニケーション素材として活用することを目的とした。同行にとっては、森林保全を軸にした資源循環への具体的施策の一つとなる。
エステーの抽出技術で製品化
ヒノキオイルの抽出には、エステーの特許技術である減圧マイクロ波水蒸気蒸留装置(VMSD)が用いられた。従来の水蒸気蒸留法と比べ、エネルギー使用量の削減が図られる仕様で、CO2排出量の抑制効果も見込まれる。創香や製作では、エステーの100%子会社であるコードミー株式会社の技術を活用した。抽出したオイルを基にオリジナルの香りを設計し、カード状の製品とした。
森林220haで循環型活用を展開
「SMBCの森」は神奈川県伊勢原市日向地区に位置し、面積は約220haとなる。同行は同森林で生物多様性の維持や森林由来クレジットの創出、環境教育の実施、バイオマス発電などを進めている。今回のヒノキオイル活用は、森林由来資源の新たな用途を見出す実践例となった。背景には、国内林業の活性化と国産材認知の向上を図る狙いがある。
環境省が掲げる循環型社会の推進やネイチャーポジティブの潮流の中で、企業が社有林を活用した資源循環を試みる動きが広がっている。同行の取組は、その一環として森林資源の経済的価値と環境的価値の両立を模索する流れの中に位置付けられる。
社外コミュニケーションでの活用想定
今後は「SMBCの森」で得られる間伐材の多様な活用を継続的に検討する方針を示している。
今回の共同開発では、三井住友銀行が森林管理で得た資源を提供し、エステーが抽出・加工を担う役割分担の形をとっている。両社の技術・資源を組み合わせることで、未利用資源の活用モデルとしての枠組みを整えた。カード利用の対象は同行の関係先を中心に想定され、行内外での説明活動やイベントなどにおいて使用される見通しだ。一般配布の予定は明らかにされていない。
三井住友銀行は、間伐材ヒノキオイルの資源循環を軸に国産材利用の認知拡大を進める構えであり、今回の取り組みは環境保全と企業コミュニケーションを結びつけた事例となっている。
