メルシャンは3月17日、「軽井沢T-SITE」内に「シャトー・メルシャン ワインショップ軽井沢」をオープンした。長野県産ワインを中心に約30種類をそろえ、有料のテイスティング体験を提供する。店内では映像も活用し、ワインづくりの工程などを紹介する。来店者が産地に触れる接点を増やし、日本ワインと長野産ワインの認知拡大につなげる狙いだ。
コンセプトは「ワイナリーへの入口としての“ワイン体験”」。軽井沢は国内外から多くの観光客が訪れるリゾート地で、試飲などを通じた体験型消費との親和性が高いとみて出店を決めた。観光地における常設拠点として、顧客との接点を広げる場づくりを進める。
長野県産約30種を用意
取り扱いは長野県産ワインを中心に約30種類をそろえる。有料のテイスティング体験に加え、ワインメーカーを招いたトークイベントやセミナーの開催も予定し、体験を起点に商品理解を促す設計とした。店内には大型ビジョンを設置し、ワイナリーの四季の風景やブドウの生育過程、仕込みの様子などを映像で紹介する。視覚情報と試飲を組み合わせ、来店者が産地の魅力を多面的に味わえる空間を整える。
メルシャンは長野県内で「シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原ワイナリー」と「シャトー・メルシャン 椀子ワイナリー」の2拠点を展開し、ワイナリーツアーや試飲体験を提供している。軽井沢での店舗は、リゾート地での体験を通じて、現地ワイナリー訪問へと誘導する導線としての役割も担う。出店先の軽井沢T-SITEは軽井沢駅北口に直結する立地で、施設開発を担うカルチャー・コンビニエンス・クラブ(CCC)は、信州らしさを発信し体感できる拠点づくりを掲げる。
軽井沢T-SITEは三菱地所、アクアイグニス、CCCの共同開発で、2024年3月に着工した。飲食・物販の複数店舗を組み合わせ、信州産食材を軸にした体験設計や、滞在機能を取り込む構成を打ち出す。軽井沢の年間観光客数は約800万人とされ、観光動線上に「試飲」「セミナー」といった体験を組み込みやすい環境が整いつつある。長野県は日本ワインの生産量で全国3位で、シェアは約1割とされる。観光と結びついたワイナリー訪問も県推計で年10万人超に上り、ワインを核とした地域観光の受け皿づくりが進展している。
試飲とイベントで産地訴求
運営面では、テイスティング体験とワインメーカーによるトークイベントやセミナーを組み合わせ、店内の大型ビジョンでワイナリーの風景や仕込みの様子などを紹介する。試飲と産地情報の発信を一体で提供し、ワインの背景にある産地や生産者への理解を深めてもらう構成とした。
軽井沢T-SITE内では同日、「aVin stand Karuizawa」も開業し、長野ワインや地酒、ビール、シードルなど約300種類を扱い、試飲カウンターを備える。施設内に複数の酒類体験拠点が並ぶことで、来訪者が飲み比べを楽しみながら、産地や銘柄の違いに触れられる環境が広がる。メルシャンは自社ワイナリーと連動した店づくりで、長野という産地の訴求に重心を置き、観光拠点でのブランド浸透を図る。
メルシャン代表取締役社長の大塚正光氏は、日本ワインや長野という産地の魅力に触れてもらうきっかけとなる場を目指し、“ワイン体験”をコンセプトに掲げたと語る。店頭でのテイスティングとイベント運営を同一空間で展開することで、接客や在庫供給の体制構築が課題となる一方、消費者がワインに触れる機会を面的に拡大できる利点も大きいとみられる。軽井沢の新拠点を通じ、長野県内2ワイナリーの情報発信と来店接点の拡充を進め、日本ワイン市場の裾野拡大を狙う。
