マーチャント・バンカーズ株式会社(東京都)は、27年10月期末を目標に、投資金額を融資、エクイティ、不動産へ3分の1程度ずつ配分する投資方針を示した。26年10月期は大幅な増収と営業増益を見込み、経常・最終利益は黒字転換予想だ。第1四半期は不動産売却がなかった一方、海外投資先の配当計上で営業利益が大幅増益となった。資産売却と投資案件の拡大を並行し、収益源の組み替えが進む点が取引先にも影響し得る。
マーチャント・バンカーズはマーチャント・バンキング事業として国内外の不動産・企業投資関連事業を展開し、保有不動産の売却を進めながら、収益性の高い投資案件やM&Aへの取り組みを強化する方針だ。投資配分の目標を融資・エクイティ・不動産で均等に近づけることで、案件獲得や投資回収の手段を複線化する位置づけとなる。
27年10月期末へ配分明確化
同社は25年5月に今後の投資方針を公表し、27年10月期末を目標に、全体の投資金額の3分の1程度ずつを融資、エクイティ、不動産に投資するポートフォリオ構築を目指すとした。
融資では、25年1月に取り組みを始めた上場株式担保融資を中心に、売掛金や不動産などを担保とした融資事業にも取り組む。25年4月には株式担保融資事業で財全GROUP社と業務提携した。
エクイティではM&Aを含む投資を進め、24年6月に業務提携したColorsJapan社など協力先からの紹介・提案案件を活用する。
不動産では投資用マンションなどの取得に加え、仲介事業にも注力して収益性を強化する方針を掲げた。事業運営は連結子会社を含む体制で進め、MBKプロパティ(東京都)が不動産管理運営を担うなど、役割分担を置いている。
26年10月期は黒字転換予想
26年10月期の連結業績予想は、売上高が前期比33.0%増の45億円、営業利益が103.3%増の5億80百万円を見込む。経常利益は3億円(前期は31百万円の損失)、親会社株主帰属当期純利益は2億40百万円(同85百万円の損失)とし、経常・最終利益は黒字転換予想だ。配当予想は前期と同額の2円(期末一括)としている。
同社は昨今の不動産価格と金利の上昇傾向を踏まえ、保有不動産物件の売却を積極的に行う。
売上利益とキャッシュ・フローの確保を進めつつ、貸金や再生可能エネルギー案件など、不動産投資より収益性の高い投資案件やM&Aへの取り組みを強化する方針を示した。
1Qは配当計上で営業益3.2倍
第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比31.4%減の4億06百万円だった。
一方で、営業利益は3.2倍の1億64百万円、経常利益は33百万円(前年同期は9百万円の損失)、親会社株主帰属四半期純利益は30百万円(同10百万円の損失)となった。
同四半期は保有不動産物件の売却がなかったが、海外投資先からの配当1億65百万円を計上した。CN Innovations Holdings Limitedからの特別配当金で、26年10月期業績予想の前提として想定していた50百万円を1億15百万円上回った。
一方、営業外費用ではビットコイン価格の下落に伴う暗号資産評価損73百万円を計上した。通期予想は25年12月12日付の期初公表値を据え置き、第2四半期には販売用不動産売却による営業利益約90百万円の計上を予定している。
投資先拡大と再エネ投資継続
投資実行は、不動産・企業投資の両輪に加え、再生可能エネルギーや系統用蓄電池などの分野にも広げてきた。
25年10月には、特定卸供給事業者(アグリゲーター)のライセンスを持つエネルギーポイント社の普通株式20%を取得し、持分法適用関連会社化した。25年9月には台湾EUKA Power社と、九州を中心とした日本国内における系統用蓄電池開発プロジェクトを協業して取り組む旨の基本合意書を締結し、25年10月に第1号案件の建設地が熊本県内に決定した。25年11月には同プロジェクトの出資者2社の決定を発表している。
また、Life Innovation Holdingsについては、26年1月30日付で1億16百万円を出資して14.5%を取得し、26年3月13日付で19.7%の株式を現物出資で受け入れ、出資比率34.2%の持分法適用関連会社とした。
さらに、同社の事業計画の6カ月間(26年2月~26年8月)程度における進捗を前提に、17%の追加出資による連結子会社化についても合意している。過去には、23年12月の循環資源ホールディングスとの資本業務提携(5.77%出資)や、24年10月のGCL Global Limitedが発行した転換社債200千米ドルの取得など、投資手段を分散してきた経緯がある。
独自分析:投資手段分散が選別促す
今回の黒字転換予想と投資配分の明確化は、不動産売却益に依存しやすい局面から、融資・エクイティ・不動産を並行させる枠組みへ軸足を移す動きといえる。背景には、不動産価格と金利が上昇傾向にあるという外部環境がある。売却を進めてキャッシュ・フローを確保しつつ、貸金や再生可能エネルギーなど相対的に収益性が高いと位置づける案件へ振り向ける方針を掲げた点は、投資回収の時間軸やリスク単位(需要と資金繰り、運用)を分散させる狙いがにじむ。
実際、第1四半期は不動産売却がないなかでも配当計上で利益を押し上げた一方、暗号資産評価損も発生しており、収益源の多様化は損益変動要因も併せ持つ。融資では株式担保融資や売掛金担保など、企業側の資金需要と担保評価が焦点となり得るほか、エクイティでは提携先からの案件導線が投資実行ペースを左右する構図だ。こうした構成は、再エネや系統用蓄電池など投資テーマの広がりと並行し、案件選別と運用体制の積み上げが主要なテーマとなる。
