株式会社medimo(東京都港区)は、国内最大級の医薬品卸である株式会社スズケン(愛知県名古屋市)グループに参画した。医療現場の人手不足に対応する取り組みを強化するためで、生成AIを活用した医療文書作成支援AI「medimo AIクラーク」の展開を全国に広げる体制を整備する。今回の参加により、スズケンが保有する全国約16万軒の医療機関・薬局ネットワークを活用し、現場支援のスピードを高める方針を示した。
両社は、医療の生産性向上を目的に連携を深める。少子高齢化に伴い医療従事者の負担が増す中、medimoが展開するAIソリューションをスズケンの流通網・営業体制と結びつけ、より迅速に現場へ導入する枠組みを構築する。medimoにとっては創業以来の医療AI事業を新たな段階に進める動きであり、スズケン側は既存の「健康創造」事業領域にAI活用を取り込む。
全国1,000件超の医療機関に導入実績
medimoは2024年3月のサービス提供開始から約2年で、全国で1,000件を超える医療機関に導入された。累計100万回以上の診察で活用され、現場では時間削減や診療効率向上につながった事例が報告されている。日本全国には約10万件の医療施設があり、今回のグループ参画により導入拡大が現場規模で進む構えが示された。
同社のAI文書作成支援機能は、生成AI技術により音声記録をもとに診療文書を自動生成する仕組みを採用している。音声認識や要約処理を一体化し、医師などの事務作業軽減を狙うもので、すでに大学病院や基幹病院での導入実績も確認されている。
医療人材不足と連携体制の構築
日本の医療現場は、少子高齢化と働き手不足が重なり、その持続可能性が問われている。限られた人的資源で医療を維持するための生産性向上が課題となる中、AI技術を活用した情報記録の効率化が求められてきた。medimoは2022年4月の設立以来、生成AIを用いたカルテ作成支援の開発に注力してきた経緯がある。
スズケンは約100年の歴史を持つ医薬品卸大手で、全国的な流通と顧客基盤を有している。今回の連携により、AIによる医療現場支援とディストリビューション網を結合する形で、各地の医療機関の業務効率化を目指す。
事業体制は、共同代表の中原楊氏と馬劭昂氏が引き続き経営を担う構成をとる。創業者の一人である野村怜太郎氏は顧問として中長期戦略を支援する。スズケンの営業・サービス機構を活用し、AIソリューションの市場展開を進める枠組みを形成する方針を示した。
今回の参画は単発でなく、既存事業の拡張段階と位置付けられている。medimoが立ち上げた生成AI事業の第二創業期として採用拡大も進む予定が示され、技術開発から営業展開まで継続的に進行する枠組みが取られる。
両社は、AIによる医療業務支援の全国的展開に向けた協働体制を当面の焦点に据える。スズケンの流通網を通じて全国医療施設への導入を進める形をとる一方、medimoはAIソリューションの開発を継続する構えを見せた。現行の経営陣による統合運営体制の下で、全国単位のサービス実装を進める段階に入ったといえる。