M&Aキャピタルパートナーズ株式会社(東京都中央区)は、通信インフラ工事を手がける株式会社コムテック(東京都足立区)と、ITトータルソリューションを強みとするディクスホールディングス株式会社(東京都港区)のM&Aを仲介した。取引後は両社の事業資源を融合し、ITと通信双方から企業のデジタル変革を支える体制を構築している。
このM&Aで、ディクスホールディングスが譲受企業となった。コムテックは施工現場力の高さを活かして事業を拡大してきたが、経営の個人依存を脱し、長期的な組織基盤の強化を図る目的で譲渡を決断した。仲介を担ったM&Aキャピタルパートナーズは、両社のマッチングを通じて施工とシステム運用を統合する枠組みを形成させたもので、自社にとっても中堅・中小企業の事業承継支援領域を補完する案件となる。
通信とITを横断する事業基盤を構築
コムテックが手がけてきた通信インフラ施工技術と、ディクスホールディングスのシステムインテグレーション力を組み合わせることで、両社は設備面とシステム面の両輪によるDX支援体制を確立した。ディクスホールディングスは電気通信工事業とSI事業を展開し、安定した財務基盤を有していることが選定理由となった。
一方のコムテックは、20年以上にわたり現場作業を中心に通信設備工事を行ってきた企業で、施工部隊の技術と実績を譲受側の強みで補完する形だ。
M&Aキャピタルパートナーズの企業情報部主任である栗原啓太氏がアドバイザーを務めた。両社は複数回の面談を経て合意に至り、経営体制や従業員の雇用維持を重視する条件で交渉を進めたという。これにより、業界内でも通信インフラとIT運用を横断する協業モデルの一例として注目を集めている。
20年超の現場力を背景に経営基盤を刷新
コムテックは創業以来、通信工事の現場対応力を強みとして首都圏を中心に展開してきた。個人経営の色が濃い中小事業者が多い同業界で、後継者問題や経営の属人化が課題となっており、同社も2025年3月頃から将来の持続的な運営を模索していた。経営者個人に依存した意思決定構造を改め、長期的に従業員が働き続けられる環境を整備することが目的だった。
外部環境では、DX需要の拡大に伴い通信とITの一体化が急速に進む。企業間ネットワークやクラウド基盤の導入増加により、通信設備施工会社にもシステム側対応が求められる局面が増えた。こうした潮流の中で、施工とSIの一体運営が実現すれば、調達・運用・保守の一貫対応が可能になる。今回の統合は、人材供給とサービス品質双方の持続性確保につながるとみられている。
M&Aキャピタルパートナーズの仲介実績を拡充
M&Aキャピタルパートナーズは2005年に設立され、東証プライム市場に上場するM&A仲介企業だ。中小企業の事業承継や成長支援を中心に案件を手がけており、今回のように技術系事業者間の協業を伴うM&Aの仲介も増えている。東京ミッドタウン八重洲に本社を置き、業界ごとに専門部署を持つ体制を構築している。
今回の案件担当となった栗原氏は中小企業の承継支援経験を有し、譲渡側の経営方針や従業員処遇への意向を丁寧に反映したとされる。
M&Aキャピタルパートナーズにとっても、通信工事とITソリューションを横断する業界連携支援の新しい事例となり、今後の仲介領域拡大に資する成果と位置づけられる。
統合効果の定着が今後の注目点
成約後は、両社の業務プロセスを段階的に統合し、通信設備施工からシステム運用保守までの一貫対応体制を整えるとされている。中堅規模の施工業者がITソリューション企業と組む事例は、DX対応投資の加速に伴い増加傾向にある。
今回の通信インフラ×IT統合M&Aも、同様の動きを裏づけるものとなった。