リーガルテック株式会社(東京都港区)は、災害現場で使用される探索ロボットの状況判断支援AI技術に関する特許検討で、同社の特許支援AIプラットフォーム「MyTokkyo.Ai」が活用されたと発表した。複数のセンサー情報をAIが解析して判断を支援する技術について、特許化可能な発明要素の抽出と発明提案書の整理を行った。操作者の判断負荷を軽減し、探索判断の迅速化を図る狙いがある。
対象となったのは、災害対応ロボットの運用で遠隔操作者の経験や判断力に依存していた状況判断の課題に対し、映像、音響、ガス濃度など複数のセンサー情報をAIが統合的に解析し、災害現場の危険度を段階的に評価したうえで結果を分かりやすく提示する判断支援方式だ。ロボット開発企業の研究開発段階の構想を、特許実務に特化したAIエージェントを備えるMyTokkyo.Aiで特許検討に落とし込む目的が示されている。リーガルテックはAI・データ技術を用い、法務・知財領域の高度化支援に取り組み、MyTokkyo.AiのほかAI IPGenius、リーガルテックVDRなどの開発・提供も進めている。
発明提案書まで整理
本事例では、センサー構成や情報提示方法に関する技術資料を入力し、AIが内容を解析して「課題」「解決手段」「技術的効果」という観点から発明要素を自動的に整理したという。あわせて、災害対応ロボットや状況認識支援に関する先行技術を参照しながら検討を進めたとしている。整理された発明要素では、災害現場で取得できる情報が限られる中で安全性を確保しつつ迅速な探索判断を行うことが困難である点を「課題」に挙げた。
「解決手段」は、複数センサー情報の統合解析により危険度を段階的に評価し、結果を操作者に提示する方式とした。「技術的効果」は、操作者の判断負荷を軽減し探索判断の迅速化を図ること、危険箇所への不用意な進入を防ぐことで二次災害リスクの低減に寄与する点を示した。これらを発明提案書として整理することで、災害対応の分野において研究開発構想を特許出願を見据えた形で具体化することが可能となったとしている。
リーガルテックは、特許検討の局面で研究開発の構想や技術資料を知財実務に接続する作業を、AIエージェントで支援する使い方を前面に出している。直近でも、医療現場向け搬送ロボットの動線最適化制御技術に関する特許検討でMyTokkyo.Aiを活用した事例を公表しており、ロボット関連の研究開発テーマに対して、発明要素の整理と発明提案書作成までを支援する流れを示している。
また、同社はTokkyo.Aiに新機能「Technology Explorer」を追加したとも公表している。AIエージェント技術の高度化により自社テスト上で2倍以上の精度向上を確認したとしており、調査計画の自動設計や再探索ロジックの強化、ノイズ削減といった機能面の更新も含めて、特許検討における調査やドラフティング支援の整備を進めている。知財判断の属人化解消を課題として、ベテランの判断プロセスの可視化や判断理由の記録、組織内で共有する基盤の提供を掲げ、若手の参加や部門間の共通基準づくりにつなげる考え方も示している。
役割分担と未決事項
今回の事例で示された範囲は、災害対応ロボットの状況判断支援AIに関する研究開発段階の構想を、MyTokkyo.Aiの特許実務向けAIエージェントを用いて特許検討へ落とし込むところまでとなる。入力対象はセンサー構成や情報提示方法に関する技術資料で、出力物は「課題」「解決手段」「技術的効果」の観点で整理された発明要素と、発明提案書の形をとっている。先行技術の参照を行いながら検討を進めた点も含め、技術情報の整理と調査の並走が前提になっている。
一方で、特許出願の実施時期や出願範囲、数量や提供期間などの提供形態は明示されていない。ロボット開発企業側の開発体制や、災害現場での運用体制に踏み込んだ記述も示されていないため、今回語られたのは、遠隔操作者の判断負荷という課題に対して、複数センサー情報の統合解析と危険度の段階評価、結果提示という判断支援方式を、特許検討のための発明要素として整理する工程までとなる。
運用上の注目点は、技術資料の入力対象が「センサー構成や情報提示方法」である点と、整理物が発明提案書である点にある。取引管理・法人営業の観点では、開発部門が保有する技術資料の範囲と形式、先行技術参照を含む検討プロセスにどこまで組織として関与するかが論点となり得る。リーガルテックは、研究開発構想を特許検討へ落とし込む用途としてMyTokkyo.Aiの活用を示している。
