Legal AI株式会社(東京)は、2026年1月に施行される「取引適正化推進法(取適法)」に対応したAIリーガルチェックおよびAIレクチャーサービスの提供を開始した。AIが企業取引に求められる新基準を解析し、契約条件や支払条件を即時に診断する仕組みだ。従来の下請法を継承する新制度のもとで、企業の取引実務や支払慣行の見直しが求められる中、AIによる自動確認で準備を支援する。
今回の提供は、振込手数料の受注側負担禁止や手形払いの原則廃止など、商取引ルールの大幅な変更を背景にしたもの。Legal AIが開発したシステムは、下請法から取適法への改正内容や公正取引委員会のガイドラインを学習し、自社が「委託事業者」または「中小受託事業者」のいずれに該当するかを自動で判定する。商習慣の変化に伴うリスク把握と体制整備を容易にすることを目指している。
AIで条文を自動解釈 契約条件も点検
AIは契約書データや支払条件の記述を解析し、法令上問題となる箇所を示す。例えば、発注書面での振込手数料負担や60日を超える支払サイト設定など、違反リスクを伴う表現を自動で抽出する仕組みだ。また、質疑応答形式で新ルールの内容を学べる「AIレクチャー」も備え、企業の内製的な法務対応を支援する。従業員数基準の導入や物流分野への適用拡大など、改正範囲の広がりに対応できるよう設計されている。
適用範囲拡大に対応 取引診断機能を整備
法改正では、企業規模の判定基準として資本金に加えて従業員数が導入され、これまで対象外だった中堅事業者も規制範囲に含まれるようになった。Legal AIの診断機能は、事業者の資本金と従業員数を入力するだけで該当区分を特定し、発注・受注の立場に応じた注意点を提示する。また、AIは取引対象ごとに手形支払いの有無や価格協議記録の必要性なども確認し、改正条項への適合性を判定する仕様を採る。
この改正は、長年の取引慣行見直しを目的とした抜本的な制度改革で、公正取引委員会が示す重点事項として、代金協議の義務化や物流委託の追加が挙げられている。Legal AIはこうした制度変化に先立ち、AIを活用した点検環境を業界横断的に整備している。
弁護士法遵守を前提に設計 自社開発LLMを活用
サービスは弁護士法第72条に配慮し、最終的な法的判断を行わず、条文やガイドラインに基づく情報提供に特化している。法務知識を内包した大規模言語モデル(LLM)が、企業の入力情報に基づき論点を整理し、関係法条を引用して回答を提示する。これにより、法務部を持たない企業でも自主的な理解促進と初期診断を進められる。開発はLegal AIが独自に行い、同社の既存AI法務ツール群との連携も見込む。
数量や利用期間に関する記載はなく、法改正準備に向けた常設型の利用が前提とされている。
2026年施行見据え 実務準備ツールとして位置
Legal AIは、このAIサービスを通じて企業における取適法実務対応の整備を促している。2026年1月施行に向けた準備期間が限られる中、改正項目のうち「振込手数料禁止」「手形払い廃止」「従業員数基準の導入」など、即応が求められる部分を中心に点検支援を行う体制をとるという。この取り組みは、同社が展開する各種AI法務支援サービスの中核機能の一つとされる。