アクセサリーブランド「LEATHERS AND TREASURES(レザーズアンドトレジャーズ)」を展開するビヨンクール(東京・渋谷)は2024年12月13日、創設者デニス・ポリチーノ氏の命日に合わせ、新作コレクションを発表した。ブランドの象徴作「ポープス インレイリング」を再構築したスモールサイズモデルと新開発の「エンジェルインレイパーツ」を披露し、限定13点の特別仕様も展開することを明らかにした。命日に新作を発表する恒例の取り組みの一環で、ブランドの原点を改めて提示する意図があるという。
ビヨンクールは創設者への敬意を軸に、ブランドが築いてきた造形美と職人技を次世代へ継承する意義を強調している。命日に合わせた新作発表は、顧客や愛好家にブランドの理念を共有する場に位置づけられており。制作面でも初代デザイナーが掲げた「神は細部に宿る」という哲学の再解釈を進めている。限定仕様を設けたのは、作品に込めた思想を記念的に残す狙いがあるとみられる。
象徴作を再構築し職人技を凝縮
今回の新作『スモールポープスインレイリング』は、従来モデルをコンパクトに再設計した点が特徴だ。フォルムを小型化することで、ポリチーノ氏が追求した細部美と構築的デザインがより際立つ構成となった。素材にはシルバーやスティングレイレザー、ダイヤモンドなどを組み合わせ、従来作に比べ装飾の立体感と彫刻技法の精度を一段と高めている。
さらに、新たな装飾パーツ「エンジェルインレイパーツ」を採用したモデルも登場する。宗教的モチーフを精密に造形したもので、立体的な彫金を通じてブランドの精神性を象徴的に表現する。限定仕様には、金を施した「K18フィリグリー」や「4ウイング」構成の特別デザインを採用した。
創業40年超の職人主義を貫く
レザーズアンドトレジャーズは1980年、米ロサンゼルスでデニス・ポリチーノ氏が立ち上げた。同氏はヨーロッパのアンティークジュエリーに学びながら、繊細な造形と重厚な存在感を融合させる独自の作風を確立した。1990年代以降、日本の硬質アクセサリー市場の拡大に伴い、同ブランドは国内の愛好家層から高い支持を集めた。創設者の没後もブランド哲学はきちんと受け継がれており、この哲学を未来へと継承していくことを使命としている。
限定展開でブランドの象徴性を強調
本年の発表では、特に命日に合わせて数量を「13点」に設定した点が特徴的だ。ブランド関係者によると、数字の13は創設者の命日と対応し、毎年その日に新作を発表する伝統を体現する意味を持つという。限定モデルには金装飾を複数施す豪華な仕様もあり、カスタム製作によって一点ずつ受注対応する。販売はビヨンクール直営店「Beyond Cool Tokyo」「名鉄百貨店」「浜松店」などで受け付けられる。アクセサリー専門店「ジュエリーコネクション」でも取り扱い、実店舗とオンラインを組み合わせた流通体制を整えている。
伝承と制作現場の連動がブランドを支える
ビヨンクールの荒井雄志社長は「創作の原点を改めて見つめ直す日として、毎年同じ日に新作を届ける」と説明している。現行の職人チームはポリチーノ氏の設計思想を基盤に、手作業による彫金技術と素材加工を継承している。 業界関係者の間では、こうした記念日の発表を通じてブランドの一貫性を維持する姿勢が高く評価されており、量産より理念を優先する立ち位置が際立っているとみられる。今後は若手制作者の育成や製作工程の技術伝承が主要なテーマとなるだろう。
アートと市場競争の両立が焦点に
一方で、国内外のアクセサリーブランドでは、技術の多様化とSNSを活用したブランド発信が加速している。レザーズアンドトレジャーズのように創設者の哲学を守りつつ現代市場に対応するブランドとなるためには、職人技の保全とデザイン刷新の両立が欠かせない。関係者は、記念日に象徴作を限定展開する手法がブランド価値の再確認につながるとみており、持続的な製作体制の確立が焦点となりそうだ。伝統と市場適応をどう均衡させるかが、今後の成長を左右する見通しだ。