京都信用金庫(京都市下京区)は、株式会社ベター・プレイスと業務提携した。中小企業の人材面の経営課題に対応するため、「福祉はぐくみ企業年金基金」を中心とする「はぐくみ企業年金」の導入・設計を支援する。3月19日にコミュニティ・バンク京信本店で記者発表を開いた。地域企業の福利厚生の選択肢を広げ、人材確保・定着に向けた退職金制度の運用負担を軽減する狙いがある。
京都信用金庫は、人材確保・定着に悩む取引先企業に対し、ベター・プレイスが導入を進める「はぐくみ企業年金」を紹介し、課題解決を支援する。従来の企業年金制度は中小企業にとって導入・運営の負担が大きく、ハードルが高いとの見方があり、確定給付企業年金制度の導入支援を通じて福利厚生の充実と持続的成長を後押しする。地域企業の経営支援と社員の生活安定を両立させる取り組みと位置づける。
導入法人の約95%中小
提携の対象となる「はぐくみ企業年金」は、「福祉はぐくみ企業年金基金」を中心とした確定給付企業年金(DB)だ。導入法人の約95%は従業員300人以下の中小規模法人で、約3分の1が福祉・医療・教育関連の法人という。加入対象は厚生年金被保険者で、従業員は非正規雇用を含み、役員も加入可能とする。中小規模法人を主な利用主体としつつ、加入範囲を幅広く設定している点が、京都信用金庫が取引先に提案する内容の中核となる。
提携の実務面では、京都信用金庫が取引先企業への紹介や導入・設計の支援を担い、制度の導入推進はベター・プレイスが担う。従業員側は退職時に年金を受け取る選択が可能で、拠出額があらかじめ決まる企業型DCや個人型確定拠出年金(iDeCo)とは仕組みが異なる。京都信用金庫は、取引先の人材確保・定着に関する相談に対し、退職金制度の設計と運用に関わる論点を具体的な制度に落とし込む窓口として機能する。
京都信用金庫は「地域の持続的発展への貢献」を使命に掲げ、地域企業の経営支援や社員の生活の安定をめざした取り組みを進めてきた。今回の提携は、地域企業で人材確保・定着が重要な経営課題となるなか、公的年金制度への不安や将来に向けた資産形成ニーズの高まりに対応する一環と位置づけられる。中小企業では企業年金の設計や運営が負担になりやすいとの課題認識を踏まえ、確定給付企業年金制度の導入支援を通じて福利厚生の選択肢を増やす方針を打ち出した。
背景には、人口減少と超高齢化に伴う就労人口の縮小や慢性的な人手不足がある。若年労働者が企業を退職する理由として経済的要因が最も多いとされるデータや、働く世代の老後不安の最大要因が「お金」であるとする調査結果が示されており、企業が社員の資産形成を支援する仕組みの重要性が高まっている。京都信用金庫は、こうした外部環境を踏まえ、福利厚生や退職金制度を人材戦略と結び付けた経営支援の一環として、「はぐくみ企業年金」の提案を強化する。
京信が紹介窓口担う
今回の取り組みでは、制度の提供形態と役割分担を明確にした。京都信用金庫は取引先企業への紹介と導入・設計の支援を担い、ベター・プレイスが「はぐくみ企業年金」の導入推進を担当する。制度は「福祉はぐくみ企業年金基金」を中心とし、加入対象は厚生年金被保険者に限られるが、非正規雇用の従業員や役員も対象に含める。従業員は退職時に給付を受け取る選択ができ、企業の退職金制度として位置づけやすい設計となっている。
運用面では、制度導入を検討する企業が、まず京都信用金庫に相談し、具体的な制度設計や手続きはベター・プレイスが担う構造をとる。法人営業・取引管理の観点では、加入対象が厚生年金被保険者であることや、給付・受け取り方法の設計が重要な論点となる。京都信用金庫は、人材確保や定着に課題を抱える取引先企業に対し、退職金制度の有力な選択肢として「はぐくみ企業年金」を提示し、賃金・福利厚生戦略の高度化を後押しする。
