小林製薬の定時株主総会が6月27日、大阪市内で開かれ、香港系投資ファンド「オアシス・マネジメント」が提出した株主提案は全て否決された。紅麹(べにこうじ)サプリメントによる健康被害問題を受けたガバナンス強化を巡り、会社側とオアシスは対立していた。株主の支持は広がらなかった。現経営体制の維持が決まった。今後は補償対応と統治改革の実行が、事業運営の安定に影響する。
総会では、小林製薬が提示したコーポレート・ガバナンス強化策などが賛成多数で可決された。オアシスは、取締役会議長を社外取締役とする定款変更など3件を提案し、創業家出身で元社長の小林章浩氏の取締役再任への反対も呼び掛けたが、いずれも通らなかった。小林製薬にとって今回の決議は、紅麹サプリメント問題を受けた統治枠組みの見直しを、会社提案の形で進める意思決定となる。
小林製薬、提案は全否決
小林製薬とオアシスの対立は、紅麹サプリメントによる健康被害問題への対応と、その後のガバナンス強化の方向性を軸に深まっていた。
オアシスは「対応遅れの主要因の一つであった小林家の影響から完全に脱却できていない」と指摘し、取締役会議長を社外取締役とする定款変更など3件を株主提案として求めた。加えて、小林章浩氏の取締役再任に反対するよう株主に呼び掛けた。
これに対し、総会ではオアシスによる株主提案はいずれも否決となった。
オアシスは「物言う株主(アクティビスト)」として知られ、昨年12月下旬時点で小林製薬株を13%超保有し、創業家の持ち分を上回る筆頭株主となっていたが、総会決議に必要な支持の広がりにはつながらなかった。
監査等委員会設置へ移行
小林製薬は会社提案として、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社への移行を掲げた。あわせて、小林章浩氏の再任を含む取締役10人の選任を提案し、いずれも賛成多数で可決された。
紅麹サプリメント問題を受けた統治強化策を、現経営体制の枠内で進める方針が株主総会で承認された形だ。
補償は510人対象、290人支払い
総会には100人以上の株主が出席し、質疑では紅麹サプリメント問題への対応を巡って株主から厳しい指摘が相次いだ。
小林製薬によると、補償対象の510人のうち290人への支払いが完了している。小林製薬は「謝罪と補償を最優先し、誠実かつ適切に実行していく」と説明した。補償の進捗は、被害対応の局面における企業運営の前提条件として、株主の関心事項となっている。
オアシス、統治強化を継続
総会後、オアシス・マネジメントのフィリップ・メイヤー共同最高執行責任者は記者団に対し、「創業家の影響力を低減することができなかったことは非常に残念」と述べた。監査等委員会設置会社への移行については、「取締役会が小林氏に実質的な権限を委ね、結果として創業家による支配が強まる可能性がある」と懸念を示し、引き続きガバナンス強化を求めていく方針を示した。
今回の決議を受け、補償対応の遂行と新たな統治体制の運用が、株主提案を巡る議論の延長線上で位置づけられる。
