株式会社カヤック(神奈川県鎌倉市)は、LINEミニアプリを活用したキャラクター育成ゲーム「くるりんペット」を開発し、慶應義塾大学と鎌倉市による産学官連携プロジェクト「COI-NEXT」の一環として実証実験を始める。鎌倉市が掲げる「ゼロ・ウェイストかまくら」実現に向け、市民が楽しくごみ減量や資源回収に取り組める体験づくりを目的とする。実験は、市内を対象に行われる。
同取組は、代表機関・慶應義塾大学、幹事企業・カヤック、幹事自治体・鎌倉市が共同して推進する。鎌倉市が進めるリサイクル推進とごみ削減強化の施策に対し、カヤックが得意とするゲーム制作技術を生かす。行政課題への応用を視野に「ゲームフル」な仕組みづくりを試みるもので、実証を通じて継続的な行動変容の可能性を検証する。
鎌倉市で2ヶ月の実証実験
実証は約2ヶ月間、鎌倉市内で実施される。対象は主に市民で、スマートフォンのLINE上で利用できる。ごみ削減や分別、フードロス対策など日常の行動を記録する仕組みを通じ、キャラクターの育成を行う仕立てにする。3月8日には「スポGOMI」と鎌倉女子大学との協働イベントも予定されており、廃材を再利用したノベルティ制作も行われる。
鎌倉市は令和5年度の調査でリサイクル率58.5%と、人口10万人以上50万人未満の自治体では全国1位となっている。一方で1人1日あたりのごみ排出量は858gと県内33市町村中ワースト10位に位置する。市内唯一の焼却施設である名越クリーンセンターが2025年1月から稼働停止となり、リデュース強化が課題となっていた。
カヤックがゲーム仕組みを展開
カヤックはこれまで独自のコミュニティ通貨「まちのコイン」や、生ごみ処理器「FAB de キエーロ」の開発など、資源循環に関わる実証を複数展開してきた。今回は「じゅん活」というコンセプトのもと、循環活動を娯楽化するゲーム設計を導入した。アプリ内では「朝ごはんを残さず食べた」など生活の中の小さな行動を登録でき、行動実績に応じてキャラクターの育成を進める仕組みを導入している。
利用者は記事を読んだり地域施設を訪問したりすることでアイテムを得られるよう設計され、環境知識の獲得と地域回遊を促す。各施設へのチェックイン機能も備えられ、廃棄物処理や資源回収の現場との距離を縮める構成とする。
本アプリ開発の運営役割はカヤックが担い、実証全体を慶應義塾大学と鎌倉市が支援する形を取っている。イベント面では鎌倉女子大学が参加し、廃棄アクリル板を再利用した記念グッズの制作を担当する。実施期間中は実証参加者がアプリ内の情報を通じて申込できる設計で、対象者は主として市民とする。
今回の取り組みでは、産学官連携の各主体が役割を分担して運用している点が特徴だ。慶應義塾大学が代表機関として全体設計を行い、カヤックがゲーム開発・アプリ運用を担い、鎌倉市が地域協働および検証環境を提供する形をとる。