建機メーカーの加藤製作所(東京・品川)は、群馬工場(群馬県太田市)の工場棟屋根の一部に太陽光発電設備を設置し、4月から運用を始める。発電した電力は主に工場内で自家消費し、再生可能エネルギーの活用を通じてCO2排出量の削減を図る。休日など工場が稼働しない日に発生する余剰電力は、市場売電に回す。
設備はオンサイトPPA(電力購入契約)方式で導入する。発電事業者が工場敷地内に太陽光パネルなどの設備を設置・所有し、加藤製作所が発電電力を購入して使用する。工場稼働日と非稼働日で電力の扱いを切り分け、稼働日は自家消費を優先し、余った電力は卸電力取引市場などに売電する仕組みとした。工場屋根を発電設備として活用しながら、再エネの利用拡大と継続的なCO2削減を進める狙いだ。
年間276万kWh想定、使用電力の6割賄う規模
年間の想定発電量は約276万kWh。このうち工場稼働日に発生する約166万kWhを自家消費し、群馬工場の年間使用電力の約6割を賄う見通しだ。設備の敷設面積は約9,853平方メートルで、工場棟屋根の一部に設置する。一般家庭約300世帯分に相当する電力量規模とされ、年間1,165トンのCO2排出量削減効果を見込む。
設備の設置は2月に完了し、4月から運用を始める。電力は工場内での自家消費を基本とし、休日などの非稼働日に発生する余剰分を市場に売電する。供給期間は2046年までとし、電力の購入と売電を組み合わせた長期的な運用を見据える。
加藤製作所は1895年創業、1935年設立で、建設用クレーンや油圧ショベルなどの製造販売を主力とする。2025~2027年度の中期経営計画で「サステナビリティ経営の実践」を重要方針に掲げ、環境負荷低減に取り組む。これまでLED照明の導入など省エネ施策を進めており、今回の太陽光発電設備を再エネ利用拡大の新たな柱に位置づける。
製造業では、工場屋根を活用した太陽光発電導入が広がっている。オンサイトPPA方式は発電事業者が設備を保有し、需要家が電力購入に専念できる点から、中長期の資本負担を抑えつつ再エネ比率を高める手法として定着しつつある。敷設面積9,853平方メートル規模の屋根設置は、工場建屋の有効活用と電力運用を一体で設計する案件とみなされ、稼働日には自家消費を優先し、非稼働日には余剰電力を市場に流す運用が組み合わされる事例が増えている。
FIP活用し環境価値も計上
休日など非稼働日に生じる余剰電力は、FIP(フィード・イン・プレミアム)制度を活用し、卸電力取引市場などに売電する。売電電力に紐づく環境価値(非化石証書)は、加藤製作所のCO2排出量削減分として計上する。非化石証書は温室効果ガスの算定排出量の報告に利用できる。FIP制度は市場売電価格に一定のプレミアムを上乗せする仕組みで、余剰電力の売電と環境価値の帰属を分けて整理できる点が、同社の運用設計に反映されている。
加藤製作所は2030年度までにCO2排出量を2018年度比で38%削減する目標を掲げる。群馬工場でのオンサイトPPA導入は、その達成に向けた柱の一つとなる。自家消費電力と売電分の区分管理や、売電に伴う非化石証書の取り扱いなど、発電事業者が設備を所有する前提で、同一サイト内における電力購入と市場売電を両立させる実務運用の構築が焦点となる。
