花王株式会社は9日、経済産業省および東京証券取引所の「健康経営銘柄2026」に選定された。あわせて、経済産業省から「健康経営優良法人~ホワイト500~」に10年連続で認定された。社員とその家族を対象にした健康支援の枠組みが、企業の健康経営の取り組みとして高く評価された格好だ。
「健康経営銘柄」は、社員などの健康管理を経営的な視点で捉え、戦略的に実践する健康経営を推進している上場企業のうち、特に優れた企業を経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する制度で、2015年から開始された。花王は11度目の選定となる。健康中期計画を立て、組織的に健康経営を推進する姿勢を鮮明にしている。
28業種44社に選定
健康経営銘柄2026は28業種44社が選定対象となり、花王は化学業種で選ばれた。健康経営銘柄は原則として1業種1社を基本とし、最大5社までを選ぶ枠組みで運用されている。制度上は、重大な法令違反がないことに加え、健康経営優良法人(大規模法人部門)で上位500位以内であることなどが要件に含まれる。
もう一方の「健康経営優良法人~ホワイト500~」は、大規模法人のうち保険者と連携して優良な健康経営を実践している法人を、経済産業省と日本健康会議が共同で認定する枠組みで、2017年から開始された。認定要件には定期健診受診率100%や受動喫煙対策、効果検証の実施、重大な法令違反がないことなどが含まれる。2026年の健康経営優良法人の認定数は、大規模・中小規模の両部門で過去最多を更新した。
花王は、社員とその家族が健康支援を公平に受けられる機会を提供するとし、各事業場・地区に「健康実務責任者」「健康実務担当者」を配置している。産業保健スタッフと連携する体制を取り、健康づくりの計画策定と実施につなげる構えだ。
花王は2009年度から「健康づくりマネジメントシステム」を運用している。個人が特定できない形で健康データ(問診・健診・就業・疾病など)を統計的にまとめ、全国21カ所の健康相談室にも提供する。これにより、エリアごとの特性や課題に対応した健康づくり計画を策定し、実施している。
21カ所でデータ運用
健康づくり事業のPDCAサイクルの展開をより深化するため、花王は各地域での活動事例を募集し、審査の上で特に優れた事例を「産業保健ベストプラクティス」として保健スタッフ全体会議内で表彰している。表彰した事例は横展開を図り、全社的なレベル向上につなげる。社員とその家族は、社内のヘルスケア知見を活用した健康プログラムを通じ、「こころ」と「からだ」の両面で健康づくりに取り組んでいる。
健康経営銘柄は経済産業省と東京証券取引所が共同で選定し、投資家に向けて健康経営を重視する企業を紹介することを目的とする。選定は健康経営度調査の回答結果などをもとに行われ、直近3年間のROEが一定水準を満たすことや、社外への情報開示、投資家との対話状況なども評価項目に含まれる。健康経営銘柄は累計で167社が選定され、2026年は第12回の選定となる。
花王グループは2008年に「花王グループ健康宣言」を発表し、健康経営を推進する姿勢を明確にしてきた。2019年にはESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」(キレイライフスタイルプラン)を策定し、重点取り組みテーマのひとつに「社員の健康増進と安全」を掲げた。中期経営計画の基本方針のひとつに「社員活力の最大化」を位置づけ、健康と経営の一体的な推進を図っている。
今回の枠組みは、各事業場・地区に配置した健康実務責任者・健康実務担当者と産業保健スタッフの連携を前提に運用されている。健康づくりマネジメントシステムでは、個人が特定できない形で統計化した健康データを全国21カ所の健康相談室に提供し、エリア別の計画策定と実施に結びつける。表彰した「産業保健ベストプラクティス」を保健スタッフ全体会議内で共有し、横展開につなげる手順を継続的に運用することで、取り組みの実効性向上を狙う。
花王は制度や運用の枠組みを整えつつ、従業員支援に結びつける形で健康経営を推進し、健康経営銘柄2026の選定とホワイト500の10年連続認定を得た。取引管理・法人営業の観点では、各事業場の担当配置と全国21カ所の健康相談室へのデータ提供を前提とする運用設計が、対外的な説明や開示の場面で重要な論点となる公算が大きい。花王は健康中期計画のもとで組織的な健康経営を一段と加速させる構えだ。
