3月26日現在、開示中の株式投資型クラウドファンディング案件は3件ある。対象は手作り料理宅配プラットフォームを運営する株式会社Kamanova、AI画像解析で広告効果を可視化する株式会社NextStairs、韓国料理・焼肉レストラン「KollaBo」を展開する株式会社韓流村の3社で、いずれも普通株式型で目標募集額と上限募集額を設定している。
株式会社Kamanovaは手作り料理宅配プラットフォーム「Kamanova」を掲げる。前回のクラウドファンディングでは1日足らずで上限募集額を達成した実績があり、今回もオンラインを通じた個人投資家からの資金調達を進める。株式会社NextStairsは大学教授が監修するAI画像解析技術を用い、広告素材の効果を即時に数値化するサービス「NextStairs」を開発・提供する。株式会社韓流村は韓国本場の人気店との提携を軸に「KollaBo」ブランドの飲食店を多店舗展開しており、年間来店客数は100万人規模とされる。
3件合計約8501万円
募集状況は、株式会社Kamanovaが2682万9000円を集め、目標達成率は271%となっている。目標募集額は990万円、上限募集額は3999万6000円で、2回目の募集だ。1回目は2900万8000円を調達した。エンジェル税制は優遇措置Aの対象で、みなし時価総額は3億958万4000円。類似上場企業としてCaSy、ベースフード、ファンデリー、オーシャンシステム、ライドオンエクスプレスホールディングスを挙げ、事業モデルや成長余地の比較材料としている。
株式会社NextStairsは900万9000円を調達し、目標達成率は113%となる。目標募集額は792万円、上限募集額は6009万3000円で、こちらも2回目の募集だ。1回目は1520万円を調達した。エンジェル税制は優遇措置B(プレシード・シード特例の可能性あり)に区分され、みなし時価総額は2億9590万円。マテリアルグループ、MUSCAT GROUP、visumo、ホットリンク、データセクションなど、デジタルマーケティングやSNS解析を手がける上場企業を比較対象として提示する。
株式会社韓流村は4917万7700円を集め、目標達成率は124%となっている。目標募集額は3942万1800円、上限募集額は9955万円と外食系スタートアップとしては比較的大型の枠を設定する。みなし時価総額は40億2261万7500円で、INGS、ジェイグループホールディングス、ゼネラル・オイスター、バルニバービ、ユナイテッド&コレクティブなど外食関連の上場企業をベンチマークとして挙げる。事業会社やCVCからの出資実績も公表しており、既に外部資本による成長投資を受けてきた経緯を示す。
3社合計の到達額は約8501万円となり、株式投資型クラウドファンディング案件としては一定規模の資金が個人投資家から集まりつつある。みなし時価総額はKamanovaが約3億円、NextStairsが約3億円、韓流村が約40億円と幅があり、同じ枠組みを利用しながらも企業規模や成長段階が多様なことがうかがえる。税制面でもKamanovaがエンジェル税制優遇措置A、NextStairsが優遇措置Bに該当し、投資家にとってのインセンティブ設計にも違いが出ている。
募集形態はいずれも普通株式型で、各社とも個人投資家向けの株主優待を用意する。Kamanovaは料理を割引価格で提供し、NextStairsはスポーツ業界におけるAI活用に関するレポートを配布する。韓流村は「KollaBo」で利用できる食事券や割引パスポートを提示しており、飲食店の来店動機づくりと株主還元を兼ねる設計だ。いずれも経済的リターンに加え、サービス体験や情報提供を通じて投資家との接点を強める狙いがある。
Kamanovaは株式投資型クラウドファンディングのプラットフォームを運営する株式会社FUNDINNOを利用して資金を募る。前回の上限募集額を短期間で達成した実績を踏まえ、引き続き同じスキームを活用する。NextStairsも1回目の調達実績を示したうえで2回目の募集に踏み切っており、いずれもクラウドファンディングを段階的な成長資金の調達手段として組み込んでいる。
外部環境を見ると、株式投資型クラウドファンディングの市場では、同時期に複数案件が並行して募集中となる局面が増えてきた。3月時点の案件では、みなし時価総額が3億円台から40億円規模まで広がり、エンジェル税制の優遇措置A・Bの適用が明示される案件が目立つ。スタートアップから外食企業まで多様な事業者が、上場やベンチャーキャピタルによる出資に先立つ、あるいは並行する形で個人投資家からのエクイティファイナンスを活用する動きが浸透しつつある。
2回目募集が2社
今回の3件のうち、KamanovaとNextStairsは2回目の募集となる。Kamanovaは1回目に2900万8000円を調達し、今回は目標達成率が271%に達している。NextStairsは1回目に1520万円を調達し、2回目の現時点で目標を上回る113%となった。韓流村は事業会社やCVCからの出資実績を持ち、既存の外部資金とあわせてクラウドファンディングを位置づけている。
各社は類似上場企業を掲げ、自社の事業領域や収益モデルを投資家が把握しやすいよう工夫する。Kamanovaは家事代行やフードテック関連、NextStairsはデジタルマーケティング・SNS解析関連、韓流村は外食・フードサービス関連の上場企業を比較軸として示すことで、バリュエーションや成長余地をイメージしやすくしている。
3件はいずれも残り募集期間は12日と共通しており、個人投資家は募集枠の残高やエンジェル税制の適用可否、株主優待の内容などを踏まえつつ、普通株式としてのリスク・リターンを判断することになる。同一時期に複数の株式投資型クラウドファンディング案件が並ぶ構図は、未上場企業による資金調達手段として同市場の存在感が増していることを示している。
