株式会社ジェイテクト(愛知県刈谷市)は、同社が開発した協調操舵技術「Pairdriver」がトヨタ自動車の「新型RAV4」に初めて量産車として搭載されたと発表した。新型RAV4はSoftware Defined Vehicle(SDV)普及に向けた最初のモデルと位置づけられており、この搭載は同技術の本格採用に向けた第一歩とされる。Pairdriverは自動運転と人の操舵を協調させるシステムで、緊急回避時に機能が起動する。
ジェイテクトは1988年に世界で初めて電動パワーステアリングを開発して以来、ステアリング制御技術の研究を続けてきた。同社は今回の搭載について、既存製品の高付加価値化と新領域挑戦の両面から進める変革の一環と位置付けている。Pairdriverの開発は、人とシステムの調和を重視する同社の「技術をつなぎ、地球と働くすべての人を笑顔にする」というミッションに基づく取り組みの一つとなっている。
新型RAV4に量産搭載、安全性向上へ
Pairdriverは高精度な舵角制御を特徴としており、車両ごとのステアリング機構の差異に左右されにくい安定した制御を実現するとされる。操舵反力をソフトウェアで設計・調整できる構造をとり、人と自動運転システムの協調的な操作が可能になっている。新型RAV4では緊急回避時に起動し、走行安定性と安全性の両立を目指している。
採用されたPairdriverは量産車への初搭載事例であり、今後は多様な走行シーンへの拡大利用を他社と協調して進める方向を示している。トヨタのSDV戦略と連携し、操舵の電子制御を中心にモビリティの知能化に寄与する位置付けとなる。
技術開発の経緯と体制
1980年代から続く電動ステアリング技術の発展を基盤に、ジェイテクトは自動運転時代に対応する新たな操舵制御システムの研究を進めてきた。Pairdriverの開発経緯には、人と自動化システムの調和が交通安全の鍵であるという考えがあり、ステアリング制御の専門知見を統合する形で進められた。
背景には、トヨタ自動車が推進するSDV方針がある。ソフトウェアによる車両制御の高度化を進める中で、ステアリングのような重要機構にも電子制御化と外部連携を取り入れる動きが広がっている。ジェイテクトの技術はこの枠組みに接続する役割を果たす形となった。
Pairdriverはトヨタ自動車との協業で量産車対応仕様に仕上げられた。供給範囲や製造場所の詳細は明示されていないが、今後も開発提案の機会を通じて連携が続く方針を示している。
今回の技術搭載では再販や提供期間についての具体的計画は示されていない。Pairdriverはソフトウェア設計に基づく制御システムであり、シリーズ継続や単発提供に関する情報は公表されていない。なお、この取り組みはトヨタの量産車で初となる事例として位置づけられている。