品川駅と周辺で複数の整備事業が同時進行している。JR東日本は品川駅の改良工事と旧田町車両センター跡地の再開発を進めており、高輪ゲートウェイシティは3月28日にグランドオープンする予定だ。駅前では地下5階相当までの掘削が進み、大規模な基盤整備の様子が上空からも確認できる。
高輪ゲートウェイシティでは1街区から4街区までのビルが完成に向けて工事が進む。品川駅周辺ではJR東日本の改良工事に加え、JR東海が東海道新幹線直下でリニア中央新幹線品川駅を建設中だ。京浜急行電鉄は泉岳寺~品川~北品川~新馬場間の連続立体交差事業や品川駅の地平化、駅周辺の再開発工事を手掛け、東京メトロは南北線の白金高輪~品川間2.5kmの延伸工事を進める。複数の鉄道事業者と地権者による工事が駅周辺で重なり、駅施設、線路構造、駅前の街区整備が一体的かつ段階的に進展する構図となっている。
南北線延伸2.5km
東京メトロは南北線の白金高輪~品川間2.5kmの延伸工事を進めている。品川駅側の建設工事に着手し、都心部へのアクセス改善や乗り換え利便性の向上を図る。延伸区間の整備は、駅周辺の改良工事や街区整備と工程が近接しやすく、歩行者動線や駅前空間の再編と一体で進むことが見込まれる。
京浜急行電鉄は泉岳寺~品川~北品川~新馬場間で連続立体交差事業を進めており、品川駅の地平化を含む大規模工事となる。工事区間は約2kmで、踏切の除却、線路の付け替え、駅部の構造転換を一体で進める計画だ。品川駅では、現在の駅機能を維持しながら大幅な線路変更を伴う工事が進行している。
第一京浜を挟んだ西側では、旧パシフィックホテルとSHINAGAWA GOOS跡地で「(仮称)品川駅西口地区A地区新築計画」による建設が始まっている。共同事業者は京浜急行電鉄とトヨタ自動車で、地下5階相当までの掘削が完了しつつある。歩行者基盤や緑地空間の拡充、品川駅との回遊性向上、中心公園と連携するオープンスペースの整備などを目標に掲げる。計画対象エリアには、村野藤吾が設計した「飛天の間」(旧パシフィックホテル内)が含まれるとされ、歴史的建築物の扱いを巡って注目を集めている。
品川駅北側では、独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)が施行する品川駅北周辺地区土地区画整理事業が進む。事業期間は令和5年度~令和32年度、事業費は約630億円で、品川駅自由通路デッキや西口駅前広場の整備を進める。JR車両基地の再編や高輪ゲートウェイ駅の2020年開業を契機に、国際交流拠点化を掲げる都市基盤整備が段階的に進められている。
京急が橋桁3300トン
京浜急行電鉄の工事では、京急品川駅を地平化し、2階部分に人工地盤を構築する計画が進む。現在の駅ビルを解体後、「(仮称)品川駅街区地区南街区新築計画」により複合施設を建設する。品川駅街区は複数街区に分かれており、着工・整備のスケジュールを段階的に設定しながら開発を進める。
連続立体交差事業に関連して、京浜急行電鉄の線路に隣接する位置には巨大な白いワーレントラス橋が設置された。新たな八ツ山橋となる橋梁で、後方では送り出し工法の仮設トラスが組み立てられ、北品川駅寄りでは新橋梁の橋台も姿を見せている。JR線直上への架設工事が始まり、2月23日未明には新橋梁の送り出しが行われた。橋桁送り出し工法は連続立体交差事業の一環で、重量約3300トンの橋桁をJR線直上へ水平移動させる大規模工事となる。
工事区間では、地下の泉岳寺駅で都営浅草線と接続し、相互直通運転が行われている。泉岳寺~品川間では大幅な線路変更を伴う工事が続き、鉄道各線の改良や街区再開発が同時並行で進む中、駅周辺の道路・広場・自由通路など地上部の動線整備も、各事業主体の役割分担のもとで重なり合っていく。
工事エリアの地中には、高輪ゲートウェイシティ建設でも話題となった高輪築堤が残ると推定されている。高輪築堤は品川駅直下から浜松町駅付近まで連続しているとみられ、「高輪築堤調査・保存等検討委員会」が定期的に会合を開き、保存と活用の方策を検討している。試掘調査では、京急下り本線仮設構体と建設中の環状4号線跨線橋の橋脚付近で「張り出し遺構」が見つかり、1872(明治5)年の開業当時に設置された信号機跡と推定されている。品川駅付近では第8橋梁とみられる遺構も確認されている。
品川駅周辺は都市再生緊急整備地域に位置付けられ、港区品川・虎ノ門・浜松町エリアの国際ビジネス拠点化を見据えた大規模開発が続く。UR都市機構の区画整理では、令和8年2月に第4回事業計画変更認可、同年3月にTAKANAWA GATEWAY CITY(1~3街区)グランドオープン予定、令和10年度に換地処分、令和15年度に全体完成予定といった節目を設定。複数年度にまたがる街づくりの工程管理が鍵となる。鉄道側でも、京急の連続立体交差事業は2030年度に新線切り替え完了予定とされ、リニア中央新幹線や南北線延伸と並行する形で、品川駅周辺の鉄道ネットワークと都市構造が段階的に更新される見通しだ。
高輪ゲートウェイシティのグランドオープンは3月28日を予定している。一方、東海道新幹線回送線に並走する東海道本線支線の貨物線では、長期間休止していた区間の再整備が進み、羽田アクセス線への転用を見据えた高架橋の改修が行われている。品川駅周辺では、JR東日本、JR東海、京浜急行電鉄、東京メトロなどが複数の大型事業を抱え、工事の進捗や切り替え手順が複雑に絡み合う。法人の施設計画や周辺動線の設計では、自由通路や駅前広場の整備工程、線路切り替えに伴う導線変更を前提とした調整が不可欠となっており、高輪ゲートウェイシティの開業は、こうした同時進行の都市整備の重要な節目となる。
