Johnson & Johnson(日本における医療用医薬品事業の法人名:ヤンセンファーマ株式会社)(東京都千代田区)は27日、国際共同第III相PALOMA-3試験における日本人集団の解析結果を発表した。EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんで、「リブロファズ®配合皮下注」と「ラズクルーズ®錠」の併用療法を評価した。投与時間短縮も含め、治療の利便性に関わる情報となる。
PALOMA-3試験は、ライブリバント®の皮下投与製剤であるリブロファズ®(一般名:アミバンタマブ(遺伝子組換え)/ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え))と、経口EGFRチロシンキナーゼ阻害薬のラズクルーズ®(一般名:ラゼルチニブメシル酸塩水和物)の併用療法(皮下投与群)を評価する。対象は、EGFRエクソン19欠失変異(ex19del)又はL858R変異を有する局所進行性又は転移性非小細胞肺がん患者とされ、皮下投与群の有効性は静脈内投与群と一貫した結果を示したとされる。J&Jは、投与時間を数時間から約5分に短縮する点を、治療の利便性向上に関わる要素として示している。
日本人56例でIRR15%
PALOMA-3試験に組み入れられた56例の日本人集団の解析で、インフュージョンリアクション(IRR)の発現率は皮下投与群が15%、静脈内投与群が60%とされた。皮下投与群のIRR発現率は、静脈内投与群の4分の1に低減したとし、全体集団と一貫した結果を示したとしている。静脈血栓塞栓症の発現率は、皮下投与群が11.5%、静脈内投与群が16.7%だった。
有効性では、日本人集団の解析において、皮下投与群の無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)はいずれも中央値に未到達とされた。静脈内投与群ではPFS中央値が4.5か月、OS中央値が8.8か月とされた。薬物動態プロファイルは、日本人集団が全体集団と一貫したとされる。
これらの解析結果は、2026年第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(The Japanese Society of Medical Oncology Annual Meeting)のPresidential sessionで口頭発表(演題番号PS3-3)された。治験責任医師として大阪国際がんセンターの田宮基裕氏がコメントし、投与時間短縮による利便性やIRR発現率低下に言及した。
PALOMA-3(NCT05388669)は、オシメルチニブ及び白金系抗悪性腫瘍剤による治療後に増悪したEGFR遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん患者を対象に、リブロファズ®とラズクルーズ®併用療法のPK、有効性及び安全性を、ライブリバント®とラズクルーズ®併用群と比較評価する無作為化、非盲検、第III相試験とされる。登録患者数は418例で、主要PK評価項目は第2サイクル1日目のCtroughと、第2サイクルの曲線下面積(1日目から15日目)とした。主な副次評価項目は全奏効率とPFSで、OSは事前に規定された探索的評価項目とされた。治療の最初の4か月間は予防的抗凝固剤の投与が推奨された。
外部環境としてJ&Jは、アジアにおけるEGFR遺伝子変異を有するNSCLC患者の頻度が欧米の10〜15%に対し30〜40%と推定される点を挙げた。治療の進歩にもかかわらず約30%の患者が二次治療に到達できていないこと、診断後の5年生存率が20%未満にとどまることも記載した。
皮下投与で約5分
リブロファズ®は、ライブリバント®の皮下投与製剤で、Halozyme社の遺伝子組換えヒトヒアルロニダーゼPH20(rHuPH20)と配合したとされる。J&Jによると、リブロファズ®は2024年末に2週1回投与と3週1回投与製剤を申請し、2025年12月22日に「EGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」と「EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」で承認を取得した。2025年10月には4週1回投与製剤を申請したとしている。
全体集団の解析では、リブロファズ®とラズクルーズ®の併用療法が、ライブリバント®静脈内投与製剤と比較してPKで非劣性を示したとされる。投与時間は静脈内投与の5時間(2日間)から約5分に短縮され、IRR発現率は皮下投与群が13%、静脈内投与群が66%だった。投与満足度の調査では、修正版TASQで皮下投与製剤併用療法群の85%が「簡便」と回答し、静脈内投与群は35%だった。
今後の注目点は、PALOMA-3試験で示された日本人集団の安全性・有効性のデータが、EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんの治療現場でどの投与形態に適用されるかという運用面の整理となる。
