株式会社JMS(広島県広島市)は2月6日、2026年3月期の通期連結業績予想を下方修正した。韓国の生産拠点で発生する固定資産および棚卸資産の廃棄関連費用により、約7億円の特別損失を計上する見込み。同社は海外顧客の在庫調整が続く中、主力製品の受注減少が業績に影響していると説明した。
収益圧迫の主因は韓国拠点での構造改革コスト発生とされ、経営再編の一環として生産拠点の最適配置を進める位置づけだ。
海外再編費用が業績を圧迫
JMSは「中期経営計画2027」で掲げるグループ最適地生産の構想に基づき、生産体制の整理を進めている。韓国拠点で発生する固定資産や在庫の処分費用を7億円見込むことで、2026年3月期の特別損失に計上する予定だ。
同社では物価上昇分の価格転嫁や不採算品目の見直しを行っているが、成分献血用回路や血液バッグ製品の海外顧客による在庫調整が長期化しており、業績が想定を下回って推移しているという。
修正後の見通しでは、営業利益が前回予想比で60%減、経常利益が33.3%減と大幅な下方修正となった。純利益ベースでは前年同期の黒字から赤字へ転落する。
国内外の医療機器市場における需要微減と、製造再編コストの一時的集中が響いた形だ。
構造改革の背景と中期方針
同社は医療機器・医薬品の製造販売を主軸とし、輸液・透析、外科治療、血液・細胞など4領域に注力してきた。2024年に策定した中期計画では「未来をつくるための変革と挑戦」をテーマに、収益構造の改善とグローバル展開の加速を主要方針に掲げている。
韓国や中国を含む海外拠点再編はその戦略の一環であり、地域単位での生産効率化と為替リスク低減を狙う。
背景には、海外医療機器市場の価格競争激化と原材料コスト上昇がある。主要顧客の在庫調整が長引けば、同社への発注減が継続する懸念もある。為替変動や物流コストも利益圧迫の要因となり、グローバル拠点のコスト構造見直しを迫られた格好だ。
業界関係者の間では、今回の損失計上が中期的な利益基盤強化に向けた布石とみる見方もある。
安定供給体制の再構築へ
JMSはこれまで輸液・血液関連製品を中心に国内外で高いシェアを保持してきた。
島根県出雲市などの国内工場を軸に、シンガポールやフィリピン、ドイツ、中国などに生産拠点を展開しており、韓国を含めた再編はグループ全体の供給バランスを最適化する狙いがある。海外顧客の在庫削減が落ち着けば、需要回復局面で効率的なライン運営につなげる体制づくりを急ぐ構えだ。
経営陣の見解と外部環境
経営陣は、今回の損失を伴う再編を「一過的なもの」と位置づけている。固定費や老朽設備の削減効果は次期以降に反映される見込みで、2027年度を最終年度とする中期経営計画の実行段階において、事業ポートフォリオ再編が進むとみられる。
海外主要顧客との取引再構築が焦点であり、需給動向の変化に応じた柔軟な生産体制が求められている。
一方で、医療機器業界全体ではデジタル化・在宅医療領域の発展により市場構造が変化しており、為替や物流コストなどの外部要因も業績を左右しやすい。
今後の業績回復には、技術開発とコスト統制の両立が課題になる。
今後の見通し
JMSは、2026年3月期第4四半期以降も不採算品目の整理と価格改定を進める計画だ。
特別損失計上により一時的に利益は圧迫されるが、構造改革の成果が表れるのは次期以降とみられる。グループ全体では、生産再編と経営効率化を中長期的に進める方針を維持しており、医療機器業界の国際需給調整のなかで、海外拠点再構築の流れが一段と進む可能性がある。
