株式会社産業革新投資機構(東京都港区、以下JIC)は、株式会社神戸大学キャピタルが運営するKUC2号投資事業有限責任組合(KUC2)に対し、LP投資を決定した。KUC2は地方に眠る経営資源を活用するディープテック・スタートアップへの投資に注力する方針だ。JICは傘下ファンドや民間ファンドへのLP投資を通じ、国内市場におけるリスクマネー供給を拡大してきた。
KUC2は神戸大学の連携ファンドとして、地方の大学や研究機関、自治体との連携を強め、将来性のある技術シーズを生かしたスタートアップ創出に取り組む。JICは国内ではディープテック・スタートアップ向けの中長期的なリスクマネーが不足しているほか、地方の大学発スタートアップが人材確保などの制約も抱え十分に成長資金を確保しにくいとの課題認識を示す。国内ディープテック分野に対する機関投資家からの資金供給も限られており、大学発イノベーションを活用する投資ビークルの形成が急務になっている。
2026年1月設立のKUC2
KUC2は2026年1月に設立し、存続期間は10年とする。最長2年間の延長が可能で、運営主体(GP)はKUC Partners II有限責任事業組合が担う。JICの資金はKUC2へのLP投資として拠出され、運営は神戸大学キャピタルが担当する仕組みだ。
KUC2の運営会社である株式会社神戸大学キャピタルは2021年10月設立で、神戸大学キャピタル(KUC)が構築してきた大学や研究機関とのネットワークを生かしている。KUC2は地方の大学・研究機関や自治体との連携を一段と強化し、技術シーズを起点とするスタートアップ創出を加速させる狙いだ。
JIC資金をLPで拠出
JICは本投資により、神戸大学を中心とした国内の大学や研究機関が有する科学技術シーズを活用するディープテック・スタートアップへリスクマネーを供給し、研究成果の商用化と事業成長を後押しする。地方におけるスタートアップ・エコシステムの発展・醸成に資することも見込む。機関投資家からの資金調達については、国内のディープテック分野への資金供給がなお不足しているとの認識を踏まえ、JIC出資を呼び水として民間資金の呼び込みやファンド運営の高度化・体制整備を進める方針だ。
次号ファンド以降での機関投資家からの資金受託などを視野に、中長期的なリスクマネー供給の拡大を狙う。研究開発から商用化まで時間軸が長くなりやすいディープテック分野では、長期資金を提供する投資家層の裾野拡大が課題となっており、今回の出資はその環境整備にもつながるとみられる。背景には、地方の大学発スタートアップがリスクマネーや専門人材の不足などで事業化が進みにくいというJICの問題意識がある。
GPはKUC Partners II有限責任事業組合が務め、ファンドは10年の存続期間に最長2年の延長を可能とする設計だ。ファンド運営の改善や体制整備を進める方針の下、資金拠出と運営の役割分担を明確にしつつ、大学や研究機関が保有する技術シーズを活用した投資活動を展開する。
