JFEシステムズ株式会社(東京都港区)は2月25日、4月1日付で全社的な機構改革を実施すると発表した。製造・産業・鉄鋼の各事業本部を中心に組織を再編し、ERPやスマートソリューション分野では営業や開発体制を強化する。全製鉄所の基幹システム刷新が完了したことを受け、次期成長領域に向けた新体制を敷く方針だ。
今回の再編では、デジタル製造事業やERPソリューション事業の戦略部門を格上げし、スマートソリューション事業では製品別の事業部制を改める。さらに鉄鋼事業本部では、長期にわたって進めてきた「製鉄所システムリフレッシュ」プロジェクトの終了を踏まえ、開発・保守の分離と業務効率化を進める。全社を横断する生産性向上と人材育成を柱に、JFEグループのデジタル戦略を支える体制を構築する狙いがある。
新体制で企画・営業・開発機能を再構築
改革の具体策として、デジタル製造事業本部では企画グループを部に格上げし、製造業向けデジタル化支援の企画力を高める。
ERPソリューション事業本部では営業部に第1・第2グループを新設し、開発部のBI領域を独立させて「第3開発部 BI・データソリューション」とする。データ活用やERP統合システムを中心とした事業拡充を図る構えだ。
またスマートソリューション事業本部では、これまで製品別に置かれていた事業部を廃止し、本部直下に営業・開発・マーケティングの各部門を再統合する。営業体制は3部構成とし、原価管理や人事、電子帳票などのソリューションごとに分ける体制に改める。加えて、マーケティングやクロスセルを担う「プロモーション・マーケティング営業部」、共通アプリ基盤を扱う「共通基盤開発部」を新設し、自社プロダクトの横断的展開を強化する。
鉄鋼事業では長期プロジェクト完了を機に再構成
鉄鋼事業本部は、JFEスチール向けの基幹システム刷新が完了したことを受け、関連組織の廃止や統合を行う。
これまで進めてきた「製鉄所システムリフレッシュ」は、JFEスチールの全製鉄所でメインフレームからオープン環境への移行を実現した大規模プロジェクトであり、2025年12月に完遂した。仙台製造所を皮切りに、千葉・福山地区を含む全拠点で刷新を終えている。
倉敷事業所では電気炉建設に対応した専任プロジェクトを立ち上げ、福山や中部・東日本拠点では業務区分を見直す。見直す。
SCMの一部グループを廃止する一方、開発・保守機能を分けた柔軟な支援体制を導入し、システム管理業務の効率化と品質の向上を目指す。
背景に基幹刷新の完了と事業領域の拡大
JFEシステムズは、製鉄所システムの構築・運用で培った技術を起点に、製造・流通・食品・ERPなど幅広い分野のシステム開発を手がける。
前身は川崎製鉄の情報部門であり、1983年に設立後、2001年に上場。JFEスチールのIT基盤移行に際しては、TISやアクセンチュアと協働し、クラウドベースの生産管理システムへ短期間で完全移行した。これにより約2億STEP規模の刷新を約5年で完了し、次の成長段階に入った。
業界では、製造DXやAI解析基盤といった次世代の需要拡大が進む一方、IT運用や人材の多拠点分散による効率低下も課題となっている。
今回の全社組織再編は、こうした環境変化に対応し、ERP・データ・クラウド領域を横断する体制の明確化を進める過程にある。関係者の間では、基幹刷新を終えたJFEグループの次期DX推進に向けた社内リソースの最適化が焦点とされている。
経営計画に沿った内部連携強化
今回の機構改革は、同社中期経営計画の一環として位置づけられる。
鉄鋼・産業・ERP・スマートといった各製品軸を横断的に束ね、基幹系とクラウド系を結ぶ企画・提案力を高める。体制面では、営業と開発を並列化することで迅速な案件推進を可能にし、顧客ごとの要望を反映しやすい仕組みに改める。特にERPでは、SAPやMicrosoft Dynamicsなど複数の製品群を扱う体制を整え、顧客業種ごとに最適化を進める。
また、鉄鋼事業で培った24時間稼働システムのノウハウを他産業に展開するほか、食品・流通など多様な顧客基盤とのデータ連携も想定する。
関連企業との連携基盤も再編対象
同社は、JFEスチールの情報部門を母体とするユーザー系システムインテグレーターで、JFEホールディングスが発行済株式の過半を保有している。関連会社にはJFEコムサービス、アイエイエフコンサルティングがあり、グループ全体でソリューション開発や保守業務を分担している。
JDNexus®などのデータ統合基盤と、AI・分析領域の開発リソースも共有し、コンサルティング機能を補完する体制へと移行する。業務効率化グループでは、保守契約の精査と教育プログラムの標準化を実施し、内部統制やリスクマネジメントとの連動を進める見込みだ。
今後の注目点
4月から発足する新体制では、JFEグループのデジタル戦略と連動したソリューション提案のスピードと柔軟性が課題となる。
ERPやスマートソリューション事業における部門統合の効果検証や、鉄鋼分野での保守・開発分離運用の定着度が注目される。今回の全社組織再編は、長期にわたる基幹刷新プロジェクトの成果を踏まえ、次世代の産業IT基盤づくりに向けた転換点となる。
