株式会社JERAは25日、新CM「灯そう。みんなで。」を公開した。プロ野球セ・リーグのタイトルパートナーとして、年間来場者数約1400万人とともに持続可能な社会を目指す「灯せ、みんなで。」プロジェクトと連動した取り組みを加速させるとしている。環境メッセージの受け止め方や、企業の広報と実際の取り組みとの整合性が問われそうだ。
新CMは「灯せ、みんなで。」プロジェクトと連動する施策で、セ・リーグのタイトルパートナーという立場を通じて、観客との接点を活用しながら持続可能な社会づくりへの参画を呼びかける内容となっている。JERAは脱炭素への取り組みとして「JERAゼロエミッション2050」を掲げ、再生可能エネルギーの拡大に加え、発電時にCO2を排出しないとする「ゼロエミッション火力」の開発に注力する方針を示している。
年間1400万人接点
取り組みは「灯せ、みんなで。」プロジェクトと連動し、セ・リーグの年間来場者数約1400万人という大規模な接点を前提に組み立てられている。CM展開をはじめ、球場や放送を通じた露出により、エネルギー転換や脱炭素への関心喚起を狙う構図だ。
JERAは、東京電力福島第一原発事故を契機に東京電力と中部電力の火力発電部門を統合して誕生した、国内最大級の火力発電事業者だ。「CO2が出ない火をつくる。」を掲げ、2022年から広告を通じて取り組みを発信してきた。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の支援を受け、愛知県の碧南火力発電所でアンモニア混焼の実証実験を進めている。
「JERAゼロエミッション2050」は、再生可能エネルギーの導入拡大とともに、アンモニアや水素などを活用した「ゼロエミッション火力」の開発を柱とする長期戦略だ。今回のCMは、こうした発電関連の技術実証や方針と、プロスポーツを介した社会への情報発信を結びつける試みとなる。
他方で、気候変動対策の重要性が高まるなか、企業による環境配慮のアピールが実態をどこまで反映しているかを点検すべきだとの見方もある。表向きは環境に優しい取り組みを強調しながら、実際には化石燃料依存からの脱却が進んでいないケースが各国で問題視されており、「グリーンウォッシュ」との批判が起こる要因となっている。
アンモニア混焼を巡っては、碧南火力発電所で計画している混焼率が2030年時点で20%にとどまり、残りの80%は石炭を燃やし続ける形になると整理されている。アンモニアを100%燃焼させる「専焼」の実現は長期の課題とされ、現状では多くが化石燃料由来で生産されている。アンモニア製造過程で発生するCO2など、上流工程での環境負荷も踏まえた評価が求められている。
碧南で混焼実証継続
アンモニア混焼の実証は愛知県の碧南火力発電所で進められており、NEDOの支援を受けたプロジェクトだ。JERAは、発電時にCO2を排出しないとする「ゼロエミッション火力」の実現に向けた中核技術の一つとして位置づけている。
一方で、混焼率が2030年時点で20%にとどまるとの見通しや、専焼の実現が遠い将来の課題とされる点などから、脱炭素効果の評価には慎重な見方も出ている。アンモニアの製造過程を含むライフサイクル全体での排出量をどう見積もるかが論点であり、発電所での実証と、スポーツと連動した社会向け発信との関係性をどう捉えるかが問われる。
セ・リーグのタイトルパートナーとしての露出と、「灯せ、みんなで。」プロジェクトの連動を軸に、球場やメディアを通じた情報発信を展開する構想だ。新CMは既に公開されており、試合来場者との接点を生かして、環境問題への関心を高める取り組みを進めるとしている。
この取り組みを巡っては、プロ野球という国民的スポーツと華やかなCM表現を組み合わせ、「クリーンな未来」を強調する手法が、企業イメージの向上に重点を置いた「スポーツウォッシング」にあたるとの批判もある。環境メッセージの発信が、実際の技術開発や電源構成の転換とどの程度結びついているかは、グリーンウォッシュの是非を含め、今後も検証が続きそうだ。
