岩手県産株式会社(岩手県紫波郡矢巾町)は3月8日、サバの缶詰「サヴァ缶」シリーズの販売を再開する。昨年から国産サバの不漁で製造を中止していた。影響は供給停止に及んだが、外部流出や拡散といった問題は確認されていない。販売再開に向けた体制を整えたとし、取引先や消費者への提供を再び可能にする点が焦点となる。
今回のサヴァ缶生産再開では、岩手県産が主体となって販売を担い、一般社団法人東の食の会が商品プロデュースを継続する。国産サバの調達と缶詰製造は、同じ岩手県内の株式会社津田商店の協力で可能になった。供給を止めていた要因である水揚げ減少とコスト増に直面するなか、県内での調達・製造の連携により再開へ踏み切った位置づけだ。
岩手県産が販売再開
岩手県産は2013年9月から、東の食の会のプロデュースの下で「サヴァ缶」シリーズを販売してきた。
東日本大震災後の東北の水産業の復興を期して企画された経緯がある。シリーズは累計1200万缶以上を販売した一方、昨年から国産サバの不漁を背景に製造中止を余儀なくされていた。
製造中止後、購入者からは「サヴァ缶の復活を待っている」との声が多かったという。
岩手県産は声に応え、復活の道を探ってきたとしている。新たなパートナーとして津田商店と連携できたことで、国産サバの調達と缶詰製造の手当てがつき、販売再開の決定に至った。
3月8日から2種限定
販売再開は3月8日(日)からで、再開するのは「オリーブオイル漬け」と「レモンバジル味」の2種に限定する。
販売先は「いわて銀河プラザ」(東京都中央区銀座5丁目15-1)をはじめとする店舗とする。3月8日は「サバの日」であると同時に、「サヴァ缶の日」としても登録されている。
岩手県産は、製造・販売の再開を通じて「貴重な国産サバの価値をしっかりとお客様にお届けしながら、水産資源や海洋環境の現状についてもお伝えし、持続可能な水産業のために取り組んでいく」としている。
販売再開を記念し、いわて銀河プラザではサヴァ缶関連の企画を実施する。
累計1200万缶の供給回復
サヴァ缶は、厳選された国産サバを原料として使い、レシピとパッケージデザインで支持を広げてきた。これまでにシリーズ累計1200万缶以上を販売したが、国産サバの水揚げ減少とコスト増などを受け、昨年から製造が止まっていた。
供給再開は、流通・小売の現場にとって欠品解消に直結する動きとなる。
今回の再開は、過去に展開していた複数のフレーバーのうち2種に絞る。製造中止中の開発商品として「パプリカチリソース味」「ブラックペッパー味」「アクアパッツァ風」が挙げられており、当面は対象外となる。
供給力が限られる局面で、製造と調達を成立させる範囲に絞り込んだ運用となる。
県内連携で調達と製造
協力先の津田商店は、三陸の水産資源を含む原料の買い付けを通じて優良な原料素材を安定的に確保し、「缶詰」「(調理)冷凍食品」「レトルト食品」などの(加熱)加工設備を持つ。
青魚を主力製品とし、天然魚を原料とした製品を品ぞろえするほか、旬の季節に原料を確保して品質の安定に努めるとしている。
東の食の会は、東日本大震災で被害を受けた東日本の食産業の長期的支援を目的に2011年に創設された一般社団法人で、東北の食の販路開拓や商品プロデュース、人材育成を担ってきた。
サヴァ缶の再開は、国産サバの調達と缶詰製造を県内で成立させた点に特徴があり、調達条件や製造委託の役割分担が取引実務上の注目点となる。
販売再開により、岩手県産が企画起点から続けてきたサヴァ缶の供給が、国産サバの調達難という制約下でも、県内の製造協力を組み合わせる形で再び動き出す。
