インターステラテクノロジズ株式会社(北海道)が、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙戦略基金「高精度衛星編隊飛行技術」のステージゲート審査を通過した。湘南工科大学を含む5大学と連携し、数千〜数万機の超々小型衛星を高精度で制御する技術開発に取り組む。スマートフォンや自動車などと直接つながる次世代ブロードバンド衛星通信などへの応用を見込む。
開発するのは、数千〜数万機の超々小型衛星の配置を電磁石によってセンチメートル精度で維持する制御アルゴリズムを新たに設計し、編隊全体を高精度に制御する技術だ。初年度は高精度軌道シミュレーションや地上での水上実験で初期検証を実施し、計画通りに進捗している。宇宙戦略基金のもとで大学との連携を組み込み、「超多数機の精密制御が可能な編隊飛行技術の構築」を目指す。
5大学連携で3年支援
技術開発は2025年度から3年間の支援期間で採択された。インターステラテクノロジズを中心に、国立大学法人東京科学大学、国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学、国立大学法人大阪大学、学校法人湘南工科大学、公立大学法人会津大学の5大学が共同で推進する。宇宙戦略基金第1期公募で選定され、2025年4月にJAXAと委託契約を締結した。
ステージゲート審査では「設定されたステージゲート目標および当初計画に基づく全項目で計画を達成し、全体として極めて順調かつ計画的に推進されている。また組織的なPDCA運用や知財・研究発表への展開を含め、研究マネジメント面でも効率的で健全な体制が構築されている」と評価された。初年度の2025年度には、高精度軌道シミュレーションおよび地上水上実験を通じて、電磁石によるセンチメートル精度の制御アルゴリズムを新規設計し、初期検証を完了した。
編隊飛行技術は、超小型衛星同士の位置・姿勢の協調制御を可能にし、分散型宇宙インフラの基盤となるとされる。今回開発中の技術により、軌道上に巨大なアンテナを構成することが視野に入り、スマートフォンや自動車と直接つながる次世代ブロードバンド衛星通信などの新たな産業基盤につながる可能性がある。
インターステラテクノロジズは2013年に北海道大樹町で事業を開始し、観測ロケットMOMOで国内民間企業単独として初めて宇宙空間到達を達成した。現在は小型人工衛星専用の宇宙輸送サービスを提供するロケット「ZERO(ゼロ)」を開発中で、ロケット事業と衛星通信を組み合わせた垂直統合型ビジネスモデルの構築を掲げる。
今回のプロジェクトは、宇宙戦略基金の3年支援の対象研究として、大学との連携体制のもとで進められる。ステージゲート審査の通過は、初年度に実施したシミュレーションと地上水上実験による検証が、基金の進捗管理上の節目で所定の水準に達したことを意味する。
外部環境では、小型衛星コンステレーション競争が通信・観測・測位分野で加速し、数千〜数万機規模の低軌道展開が国際的な潮流となっている。類似モデルでは、SpaceXの「Starlink」が2019年の打ち上げ開始から2026年3月16日までに軌道上同時稼働1万機を突破し、顧客数は160カ国・地域で1,000万人超に達したとされる。宇宙戦略基金は、こうしたグローバル競争を踏まえた国内技術開発を後押しする枠組みの一つであり、第1期公募で本プロジェクトなどが採択された。
電磁石でcm級制御
インターステラテクノロジズが示した中核技術は、電磁石によって多数の超々小型衛星の配置をセンチメートル精度で維持する制御アルゴリズムだ。初年度は高精度軌道シミュレーションと地上水上実験を組み合わせ、実環境を模した条件下でアルゴリズムの有効性を検証した。宇宙戦略基金では、この技術を大学との共同研究と組み合わせ、「超多数機の精密制御が可能な編隊飛行技術」の体系化を図る。
共同推進体制は、インターステラテクノロジズを核に5大学が連携機関として参画する。ステージゲート審査では、技術面に加え、組織的なPDCA運用や知的財産・研究発表への展開まで含めた研究マネジメントが評価項目となった。研究開発の進捗と並行して、大学側を含む推進体制の運用が高度化していることが、今回の審査通過からうかがえる。
