株式会社イノシア(東京都港区)は、施設基準管理システム「施設基準@INX」で令和8年度診療報酬改定に関する告示・通知のマスタ化とシステム実装を完了した。導入病院では、改定情報の全読み込みや自院への影響箇所の洗い出し作業が不要になるという。これにより、医療現場の業務負担を減らす狙いがある。
「施設基準@INX」は、厚生労働省の告示・通知の公開後に、イノシアがテキスト化して整理し、システムへ反映する流れをとる。改定対応での読み込みや整理をイノシアが担う点が特徴で、令和8年度改定でも公開からマスタ実装まで対応した。導入病院は、改定内容と自院の届出状況の照合を同一システム上で進め、影響箇所の把握からタスク管理までをつなげる運用をとる。
令和8年度改定を実装
今回の実装により、導入病院は改定対応機能を使い、改定内容と自院の届出状況を照合した作業を進められるという。影響箇所を示す星取表の自動生成や、施設基準の要件ごとの新旧対比表の表示を通じ、変更点の確認を行う。変更のあった箇所はハイライト表示する形をとり、確認作業の導線を整える。
加えて、診療報酬改定プロジェクトのタスク管理機能も用意し、変更のあった箇所をプリセットタスクから登録できる形をとっている。誰がいつまでに対応するかなどの進捗状況を見える化し、管理につなげるとしている。診療報酬改定の時期は、公開される情報の中から自院に関係のある項目を正確に読み解く必要があり、どの項目や要件が変更になったかを把握し、変更に伴う人員配置や資格要件のチェックなどを期間内で進めることが、病院の担当者の負担になっていたという。
診療報酬改定は2年ごとに実施される。厚生労働省が公開する告示・通知は分量が大きく、制度改定の内容を院内で咀嚼し、施設基準の届出状況と突き合わせる工程が発生しやすいとされる。イノシアは、告示・通知が公開され次第、全文のテキスト化と情報整理を実施し、その結果をマスタとしてシステムに実装する運用をとる。こうした工程を通じ、令和8年度改定でも公開後の反映を行った。
数字面では、診療報酬改定は2年ごとに行われる制度設計となっている。改定時に読み込む対象は告示・通知の文書群で、厚生労働省の公開資料は数百ページ規模になる場合があるとされる。施設基準関連の項目は約1,000点超に及ぶ可能性があるとの整理もあり、改定情報の読み込みと影響箇所の洗い出しに平均で1〜2カ月を要するという指摘がある。病院側の作業は、変更点の把握だけでなく、院内の担当者割り当てや期限設定、進捗管理まで連続的に発生し、一定の工数を伴う。
同時に、医療分野では業務効率化を目的としたDX投資が継続している。経済産業省が整理した医療DX市場規模は2025年度に約2兆円とされ、現場の人手不足を踏まえた業務のデジタル化が論点に挙がっている。医療情報システムを巡っては、厚生労働省が「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を改定し、令和7年度以降の適用に言及しており、病院のシステム運用は制度改定対応と並行して整備項目が積み上がりやすい局面にある。こうした外部環境の下で、改定対応の読み込み・整理工程を外部で担い、院内では影響箇所の特定からタスク管理へ接続する運用設計が打ち出された。
告示整理を外部で担う
運用面では、厚生労働省の告示・通知が公開された後の「テキスト化」と「情報整理」をイノシアが担い、その結果をマスタとしてシステムに実装する形をとっている。導入病院側は、改定情報の読み込みや整理を前提とせず、星取表の自動生成、新旧対比表、タスク登録の各機能を使って対応を進める設計となっている。改定内容と自院の届出状況を照合し、影響箇所を自動抽出する運用も示され、改定対応の作業手順をシステム上に寄せる方向性が鮮明になっている。
継続性の面では、イノシアは過去の改定でも同様の運用で対応してきたとしており、令和8年度改定でも公開からマスタ実装まで対応した。導入病院は、改定対応機能の利用範囲を星取表、新旧対比表、タスク管理に置き、告示・通知公開後にイノシアが担うテキスト化・整理・実装との役割分担を前提に運用することになる。どの変更箇所をタスク化するか、プリセットタスクの使い方を含め、院内の担当割り当てと期限設定をシステムに載せる運用が焦点となる。
今回の動きは、令和8年度改定の告示・通知をマスタ化して実装した点と、導入病院が影響箇所の把握からタスク管理までを同一システム上で進める運用を採用した点に特徴がある。取引管理や法人営業の観点では、病院側が利用する機能範囲(星取表、新旧対比表、タスク管理)と、告示・通知公開後にイノシアが担うテキスト化・整理・実装の役割分担を、運用設計としてすり合わせる必要がある。
