株式会社Innovation Studio(東京都渋谷区)は、イオンモール神戸北のリニューアル施策の一環として、体験型ミラー「+PLUS MIRROR(プラスミラー)」を2Fさつきブリッジに設置した。バーチャル試着や各種診断機能を備え、来館者が診断結果を保存し、提案先店舗での購買体験につなげる動線づくりを狙う。
Innovation Studioは、旅行者を含む多様な来館者が訪れる施設特性を踏まえ、個々のニーズに応える「+PLUS MIRROR」の導入に踏み切った。イオンモール神戸北を運営するイオンモール株式会社は、館内のリアル店舗接客にレコメンドや診断サービスを組み合わせることで、購買体験の質を高める考えだ。Innovation Studioにとっては、自社で企画・開発したOMOソリューションの活用場面を商業施設内で広げる取り組みとなる。
開業20周年に向けて大規模刷新
イオンモール神戸北は2006年11月に開業し、2026年で開業20周年を迎える。専門店約150店舗を擁し、地域に加えて観光やレジャー目的の来館も多い。2Fさつきブリッジへの「+PLUS MIRROR」設置は、こうした来館者構成を踏まえて体験価値を高める施策として位置づけられる。
「+PLUS MIRROR」は「本当の似合うが見つかる」をコンセプトとする体験型サイネージミラーで、バーチャル試着のほか、フェイス診断、パーソナルカラー診断、骨格ボディタイプ診断、ファッション診断などの機能を搭載する。筐体サイズは高さ約2,000ミリ、幅約1,200ミリ。2022年3月の提供開始以降、同年6月には一般社団法人デジタルサイネージコンソーシアム主催の「デジタルサイネージアワード2022」で優秀賞を受賞している。
イオンモール神戸北側は、パーソナライズ需要への対応を導入判断の重要な要素に挙げる。「自分に本当に似合うもの」を効率的に見つけたいというニーズを取り込み、診断機能を入り口に新しいスタイルの発見につなげるとともに、ショップスタッフが診断結果を接客に活用する場面を想定している。
施設のリニューアルでは、春から秋にかけて新規28店舗を含む計約70店舗を刷新し、4月24日にグランドオープンを予定する。専門店約150店舗のうち約68店舗を刷新する計画で、刷新率は約45%に達する。館内構成の見直しとともに、共用部・店舗双方での体験向上策を進める枠組みだ。施設面では3Fフードコート「PICNIC COURT」を約100席増の1100席に拡大し、ビッグテーブルやソファ席の新設、動線改善を図る。
店舗刷新では、ファッションゾーンにレディスブランド「Cicera」(兵庫県初出店)、「OPAQUE.CLIP」、「DISCOAT」、「coca」、「Workman Colors」(神戸市初出店)などが加わる。ライフスタイルゾーンでは「無印良品」が売場面積を約2.5倍に拡大し、子ども服や冷凍食品の新規取り扱い、家具展示の増加を打ち出す。「3COINS」は「3COINS+plus」として約2.3倍に広げ、「ダイソー」「アエナ」も品揃え拡充を伴うリニューアルとなる。こうした大規模刷新と連動し、2Fさつきブリッジでの「+PLUS MIRROR」活用が回遊や購買を促す役割を担う。
診断保存と誘導設計
イオンモール神戸北の担当者は、多くの来館者に「+PLUS MIRROR」を体験してもらい、診断結果をスマートフォンに保存してもらう運用を想定する。加えて、ミラー上でリコメンドされたショップで割引クーポンを利用する仕組みを取り入れ、購買体験につなげる考えだ。クーポンをフックにした購買促進効果にも期待を寄せる。
Innovation Studioは2023年設立で、デイトナ・インターナショナルの子会社。アパレル領域で培ったノウハウを基にOMOソリューション開発を進めてきた。「+PLUS MIRROR」は商業施設の共用部に設置した体験と館内店舗の接客を結びつける構成で、来館者による診断結果の保存と、店舗側の接客での活用を組み合わせることで、顧客との接点をオンラインとオフラインにまたがって拡張する狙いがある。
背景には、商業施設側で開業周年などの節目に合わせた大規模リニューアル投資が相次ぎ、館内体験の更新を図る動きがある。イオンモール神戸北でも、リニューアル記念イベントとして3月20〜22日に先着500人/日の来館者限定プレゼント配布や、3月22日のSPECIAL LIVE(1Fさざんかコート)、4月1〜30日の新店を含む30店舗による日替わりキャンペーンなどを予定する。3Fあじさいブリッジでの「魔法のバルーン」イベント、1Fすずらんコートでのガーベラ装飾イベントも企画し、館内各所での回遊を促す施策群の一つとして「+PLUS MIRROR」を組み込む。
商業施設業界では、リニューアルとあわせてデジタルサイネージや診断ツールなど体験系デジタル設備への投資が広がっている。体験型ミラーはアパレルやコスメ領域を中心にバーチャル試着や診断機能を組み合わせて活用され、パーソナライズ診断への関心の高まりを背景に導入事例が増加している。イオンモール神戸北が掲げる「自分に本当に似合うものを効率的に見つけたい」というニーズへの対応は、店舗刷新と共用部施策の双方と親和性が高く、今後のリテールDXの方向性を示す取り組みの一つといえる。
運用面では、2Fさつきブリッジに設置したミラーを基点に、来館者が診断結果をスマートフォンに保存し、館内の推奨ショップでクーポンを利用する一連の流れを設計する。イオンモール神戸北のリニューアルに合わせて始まった「+PLUS MIRROR」の活用は、商業施設におけるパーソナライズされた購買体験の高度化と、テナント店舗の売上向上を両立させる試みとして注目される。
