INNFRA株式会社(山梨県甲府市)は、独自開発の水循環システムを搭載した可動型インフラユニット「INNFRA Base」を、山梨県内の防災道の駅「道の駅富士川」に設置し、オフグリッド・コインランドリーとして稼働を開始する。山梨県が推進する令和6年度「TRY!YAMANASHI! 社会実装サポート事業」の一環として実施する。
「INNFRA Base」は上下水道に依存しない大容量のトレーラー型ユニットで、生活排水(トイレ除く)を浄化して循環利用する水循環システム「INNFRA Water」を搭載する。水質・水量・稼働状況を遠隔で監視するモニタリングシステムも備え、無人運営のコインランドリーにも対応する設計だ。道の駅富士川では、INNFRA株式会社が設計・実装を担い、株式会社フーマイスターエレクトロニクスが事業運営、株式会社Wash Peaksがランドリートレーラーの開発を担う形をとる。
1日最大5,000L供給
「INNFRA Water」は、生物処理・濾過処理・殺菌処理を組み合わせ、水道水同等レベルまで処理するとしている。供給量は1日最大5,000Lで、シャワー1回あたり50L換算で約100人規模の避難生活に対応可能な水量とする。運用場所を柔軟に変更できる可動性を備える。
施策実施日は3月6日で、道の駅富士川での運用は平時に道の駅利用者・地域住民向けのコインランドリーとして営業し、災害時は地域住民への無料開放を行う。あわせて、避難所への可動式ランドリーとして派遣を想定するなど、平時の稼働を継続しながら非常時に機能させる運用を掲げる。
INNFRAは2023年10月設立で、オフグリッド技術の開発を進めてきた。今回の道の駅富士川への設置は、県内の実運用環境にユニットを置き、平時と災害時の両面で使う形を組み込んだ点に特徴がある。県の支援事業の枠組みを使い、実証実験を経て県内での本格事業展開までを一体で後押しするメニューの中で進める。
外部環境では、地震・豪雨などに伴う断水被害が全国的に増加していることが指摘されている。長期化する避難所生活では、飲料水に加え、洗濯・入浴などの生活用水不足が深刻な課題となっているとされ、衛生環境の悪化が感染症リスクの上昇やストレスの増加につながることが、東日本大震災をはじめとする大規模災害でも指摘されてきた。国土交通省は、平時の利用と一体で備える「高付加価値コンテナ」の活用を推進しており、可動性を備えた設備を平常時・災害時に有効活用する考え方を示している。山梨県の「TRY!YAMANASHI! 社会実装サポート事業」も令和6年度の施策として、スタートアップなどの先端技術・サービスについて実証実験から県内での展開までを支援し、社会実装モデルの確立を目指す枠組みを用意している。
3社で役割分担
参画企業の役割は、INNFRA株式会社が「INNFRA Base」の設計・実装、株式会社フーマイスターエレクトロニクスがオフグリッドコインランドリー事業運営、株式会社Wash Peaksがランドリートレーラーの開発となる。道の駅富士川では「INNFRA Base」にコインランドリートレーラーを併設する運用形態を採る。
供給形態は、道の駅富士川に設置した設備を平時は営業設備として稼働させ、災害時は無料開放と派遣を想定する構成だ。一方で、派遣の具体的な運用範囲や、どの避難所にどのような手続きで動かすかなどの実務面は、元記事の記載では具体化されていない。無人運営を想定する設計である点も含め、遠隔監視の仕組みを用いながら現地運用を組み立てる形になる。
国の「高付加価値コンテナ」の推進と、県の社会実装支援の枠組みを踏まえ、道の駅富士川で平時稼働と非常時対応を両立させる運用設計が焦点となる。取引管理や法人営業の観点では、設計・実装、事業運営、トレーラー開発の分担が明示されており、災害時の無料開放と派遣を想定する運用条件をどこまで合意事項として扱うかが注目点となる。INNFRAは、今回の実店舗運用で得られるデータをもとに技術改善を進め、全国自治体への導入を推進する方針を示している。
