株式会社IHI原動機は、一般財団法人機械振興協会(会長:釡 和明)から第60回機械振興賞「経済産業大臣賞」を受賞した。商用利用を前提とした世界初のアンモニア燃料タグボート「魁」の実証航海が2024年度に成功したことなどが評価対象に含まれた。アンモニア燃料機関技術のGHG排出削減への有効性が確認されたという。
機械振興賞は、機械工業の技術開発をさらに促進する目的で、優れた研究開発やその実用化により機械産業の発展に貢献した企業や大学、研究機関などに毎年贈られる。IHI原動機は、燃焼時にCO2を排出しないアンモニア燃料への転換をめぐる技術課題に対し、レシプロエンジンでの検証と実証船向け開発を進めてきた経緯がある。
IHI原動機が90%実証
タグボート「魁」の実証航海では、アンモニア燃料混焼率とGHG削減率はいずれも90%以上となり、混焼率は最大で約95%に達した。排気中に含まれるアンモニアとN2O(亜酸化窒素)濃度は、排気後処理装置後でほぼゼロとなったとされる。
今回の受賞は、実証航海の成功に加え、国際燃焼機関会議(CIMAC Congress2025)でCIMAC会長賞を受賞したこと、持続可能な社会の実現に貢献する技術基盤を構築した点が評価されたという。本実証により、アンモニア燃料機関技術が海運業界のGHG排出削減に有効であることが確認されたとしている。
機械振興協会による表彰対象は、研究開発とその成果の実用化により、新製品の製造、製品の品質・性能の改善、生産の合理化に顕著な業績を挙げたと認められる企業などとされる。IHI原動機の受賞テーマは「舶用4ストロークアンモニア燃料機関の開発」とされた。
NEDO基金で4社開発
IHIグループは2020年度から、4ストロークレシプロエンジンでアンモニア燃料を使用するための基礎試験に着手した。RCEM(急速圧縮膨張装置)で着火条件を調査し、単気筒試験機でアンモニア燃料の連続燃焼条件を確立したという。
2021年度からは、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のグリーンイノベーション基金事業として、日本郵船株式会社、日本シップヤード株式会社、株式会社ジャパンエンジンコーポレーション、株式会社IHI原動機の4社が、一般財団法人日本海事協会の協力を得て「アンモニア燃料国産エンジン搭載船舶の開発」に取り組んできた。IHI原動機はこの一環で、アンモニア燃料タグボート「魁」に搭載するエンジンの開発を実施した。
実証航海は2024年8月~11月に横浜港で実施された。IHIグループは燃料アンモニアの利活用モデルを普及させる開発に取り組んでいるとし、カーボンフリー燃料の早期社会実装とグローバルな環境負荷低減に向け、さらなる技術革新とインフラ整備を進めていく方向性を示している。
今回の取り組みは、商用利用を前提としたアンモニア燃料タグボート「魁」の実証航海を軸に、NEDOのグリーンイノベーション基金事業での連携体制を伴って進められた点が焦点となる。取引管理の観点では、NEDO事業として4社が日本海事協会の協力を得た枠組みで進め、IHI原動機が「魁」搭載用エンジンを開発した体制を前提とする形となっている。
