株式会社堀場製作所(京都市南区)は、事業基盤の強化を目的に京都市南区吉祥院の本社敷地内でグローバル新本社を建設する。着工は2025年12月、竣工は2028年1月を予定する。新本社は地上10階、地下1階建てで、現行本社の約11倍規模となる。建設にあわせて本社機能を再編し、国内各拠点の役割分担を見直す。
新本社建設は、堀場製作所が中長期経営計画「MLMAP2028」で掲げる売上高5,000億円体制を見据えた基盤整備の一環だ。京都を起点に、グループ全体のオペレーションを担う中核拠点として位置づけ、多国籍チームによる戦略立案を迅速化する狙いがある。国内拠点の再整備と組み合わせ、企画や営業などの機能を本社に集約することで業務効率化を進める。
本社棟は現行比11倍規模に拡大
新本社は「HORIBA World Headquarters Project」と称し、延床面積3万7443㎡を確保する。投資額は約370億円で、既存施設の解体費用や改修費も含む。
環境性能ではZEB Oriented以上、CASBEE Aランク以上の取得を目指す。設計段階から省エネルギーと柔軟な空間利用を重視し、オフィスには吹き抜けや大階段を設けて部門間の交流を促す。
建物内には「Global Operation Floor」を新設し、国内外から人材を集めた事業戦略チームを配置する。企画・営業・開発などの各機能を横断的につなぎ、グループ会社間のシナジーを最大化する役割を持たせる計画だ。
また、展示エリアの「HORIBA Museum」や「HORIBA Showcase」を設置し、社史や製品を紹介する空間も整備する。
京滋の主要機能を統合、業務効率化を推進
新本社には、堀場製作所本体に加え、半導体事業の堀場エステック、水計測事業の堀場アドバンスドテクノの企画・営業・管理部門などを集結させる。
京都本社と滋賀の生産拠点を機能分担する体制を築き、開発・生産・営業の連携を強化する。拠点再編で生じる土地や設備の余地を活用し、既存施設では研究・生産能力の拡張を図る。
堀場製作所は京都府内で複数の製造・研究拠点を展開しており、びわこ工場「HORIBA BIWAKO E-HARBOR」や堀場テクノサービス本社、京都福知山工場なども運用する。
今回の再編ではこれらの特性を生かした機能再配置を行い、共創型の開発エリア整備を進める計画だ。生産・サービス機能の統合で業務効率を高めるとともに、開発体制の高度化を図る。
本社移転の背景と成長戦略
堀場製作所の現本社は1997年に竣工し、約30年が経過した。
事業拡大に伴う人員増と業務多様化で、既存本社では柔軟なコミュニケーション空間の確保が課題となっていた。新本社の建設は、環境変化に素早く対応できる体制を整える目的がある。
堀場製作所は分析・計測機器を中心に、自動車・環境・医用・半導体など多分野で事業を展開する。
世界各国に生産・販売拠点を持ち、全社の意思決定と現場運営を統合する仕組みが求められていた。グローバル新本社では多国籍な人員構成を活用した戦略策定を実現し、各国拠点とのオンライン連携を強化する方針だ。
組織連携と地域共生も重視
オフィス設計には「Activity Based Working」の概念を取り入れ、働き方に応じた空間を選べるようにする。
さらに、役職や部署の壁を越えた交流促進を目的に「Mini FUN HOUSE」を設置し、オープンでフラットな文化を醸成する計画だ。「FUN HOUSE」は滋賀県高島市の既存施設をベースにしており、グローバル会議や社員研修の経験を応用する。
1階には企業史を紹介する「HORIBA Museum」を、2階には技術や拠点紹介の「HORIBA Showcase」を配置する。これらは社内外の来訪者が製品や技術、企業文化に触れる場として設けられる。
また、約500名収容可能な大ホールや実験エリアを社外利用にも開放することを検討しており、科学・技術・工学・芸術・数学を統合的に扱うSTEAM教育への貢献も見込まれる。
経営の視点と今後の注目点
プロジェクトリーダーの堀場弾取締役は、グローバル新本社を「司令塔かつサポーター」として位置づけ、全社課題の解決とイノベーション創出を担う拠点と説明する。
創立75周年を迎える2028年の竣工に向け、「働く人や来訪者すべてに感動をもたらす場」を目指す方針を示した。
本社の新設により、京滋地区の拠点再編と企業文化の継承を同時に進める体制が整う。
建築に伴う地域インフラや人材交流の変化も注目され、企業・行政・教育機関の協働による産学官連携の発展が焦点となるだろう。