株式会社日立製作所は25日、「クラウド移行支援サービス for Oracle Database」にOracle Database@AWSへの対応を加え、AI活用に適した安全なマルチクラウド環境の利用コストや移行期間を削減するサービスを追加し、4月1日に提供開始すると発表した。Oracle Databaseのクラウド移行とあわせ、運用や基幹データのAI活用までを一連で支援する枠組みを打ち出す。
追加サービスは、日立が掲げるAIネイティブな基幹システムへの刷新「モダナイゼーション powered by Lumada」強化の一環だ。Oracleシステムの迅速かつ安全なクラウド移行から運用、基幹データのAI活用までを一貫して支援するモダナイズを担う。Oracle Database@AWSへの対応により、AWS環境でも基幹システムのクラウド移行を迅速かつ安全に進めるための設計・運用のベストプラクティスを適用する。
コスト30%削減例
日立は、Oracleシステムをクラウド移行した場合の一例として、移行前後の利用コストを30%削減できると説明している。データベースシステムの先行検討と移行期間を合わせて2カ月の短縮も見込む。今回の追加では、Oracle Database@AWSを対象に、基幹系の移行で論点になりやすい設計・運用面の手順をベストプラクティスとして整理し、移行作業と移行後の運用を同一メニューで連続的に支援する枠組みを用意した。
運用面では、性能要件やリソース利用状況を継続的に分析し、不要リソース削減の自動化などにより、移行前後で30%のシステム利用コスト削減に加え、継続的な最適化(FinOps)と運用改善を進める。日立のエンジニアが顧客の運用チームに伴走し、ランサムウェア対策を想定したバックアップ運用や、セキュリティパッチ適用時の影響予測などの自動化を通じて、基幹システムの安定運用を支援する。AI活用に向けては、基幹システム向けとAI活用向けのデータベースサービスを分離した構成を採用し、基幹データを常時同期することで、最新データを用いた安全かつ低コストなAI分析環境を実現する。
長年オンプレミスで運用してきた基幹DBシステムでは、クラウド移行やAI活用に際して、セキュリティや安定稼働、コスト面での懸念が変革の障壁となってきた。日立は、ミッションクリティカル領域での構築・運用実績に加え、日本オラクル株式会社およびAWSとの共同検証で確立した設計や運用のベストプラクティスを活用し、こうした課題に対応する。従来からオンプレミスの基幹DBを含むOracleシステムのクラウド移行支援を手がけており、今回のOracle Database@AWS対応の追加で、マルチクラウド環境での移行支援対象を広げる。
背景には、基幹システムのモダナイゼーションと生成AIを含むAI活用の議論が、運用負荷やガバナンスを含む実装面の課題と一体で検討される場面が増えていることがある。オラクルはOracle Cloud Infrastructure(OCI)上のOracle Base Database Serviceへの基幹業務システム移行事例を示し、性能強化や運用コスト削減、DRサイト構築を含むレジリエンス向上の取り組みを紹介している。日立グループでも、日立ヴァンタラがAIインフラ「Hitachi iQ」のポートフォリオ拡充を進め、ハイブリッドクラウドのデータ基盤と組み合わせたAI運用支援や、外部データソースへの安全な接続の枠組みを提示している。こうした周辺動向のなかで、基幹DBのクラウド移行とAI活用を同時に進める際の設計・運用面の整備が重要な論点となっており、日立は共同検証で得た知見をサービスとして提供する。
オラクル/AWS共同検証
今回のサービスは、日本オラクル株式会社およびAWSとの共同検証で確立した設計や運用のベストプラクティスを活用する。Oracle Database@AWSへの対応により、AWS環境でも基幹システムのクラウド移行を迅速かつ安全に進めるための標準的な設計・運用を適用し、Oracleシステムのクラウド移行から運用、基幹データのAI活用までを一貫して支援する。
AI活用の運用設計では、基幹システム向けとAI活用向けのデータベースサービスを分離した構成を採用し、基幹データを常時同期する方式を取る。日立は、業種・業界ごとのドメインナレッジを基に、データの意味やつながりを整理するデータマネジメントを通じて、AIが基幹データを正しく解釈できるようデータ品質を維持し、分析結果を業務に適用可能とする方針だ。活用例として、金融業界の不正取引の検知・対処や、製造・流通業の需要予測に基づく在庫適正化の判断など、即時性と信頼性が求められる業務を挙げている。
サービスを通じて、顧客が基幹業務への影響を最小限に抑えながら、マルチクラウド環境への移行と継続的なコスト最適化を図り、基幹データを安全にAI活用できるようにする。運用設計では、日立のエンジニアが顧客の運用チームに伴走し、性能要件やリソース利用状況の継続分析、不要リソース削減の自動化、FinOpsによる継続的な最適化と運用改善を進める役割を担う。
