株式会社エイチ・アイ・エス(東京都港区)は19日、株式会社オリエントコーポレーションと共同展開してきた提携ビジネスカード「SKY BIZ」をリブランディングし、「TAViCA BIZ(タビカビズ)」としてサービスを一新したと発表した。デザインを変更したほか、飲食優待や医療サポートを含む付帯サービスを強化し、同日から申し込み受け付けを開始した。
新カードは、法人代表者や個人事業主を対象とした決済手段として、出張や経費精算の利便性向上を目的に企画された。HISが旅行関連の優待を提供し、オリエントコーポレーション(東京都千代田区)がカード発行を担う仕組みだ。従来の「SKY BIZ」利用者に対しては、サービス内容と名称の両面で刷新を図り、ビジネス領域における決済ニーズの多様化に対応する狙いがある。
新サービスを導入したTAViCA BIZが始動
TAViCA BIZの主な特徴として、Mastercardの優待プログラムを利用した飲食店での特典がある。国内外約250店舗のレストランで、2名以上の利用予約を条件に1名分のコース料金が無料になる仕組みだ。
また、HISの海外パッケージツアーをオンライン予約する際に利用できる割引クーポンを付与し、出張コストの軽減を図る。
さらに、海外滞在中に体調不良となった場合、日本人専門医による24時間365日のリモート診療サービスを無償で受けられる体制を整えた。医療サポートは株式会社Medifellowが提供する。
カード利用に応じてポイントを付与する制度も導入し、経費支払いの集約を促す。旅行関連のサービス強化を通じて、法人顧客の経費管理と従業員の安全確保を両立させることを目指している。優待メニューと付帯機能を拡張したことにより、ビジネスシーンでの国際的な利用機会を広げやすくした点も特徴だ。
法人顧客向け決済市場で需要拡大
オリエントコーポレーションによると、近年は法人代表者や個人事業主の間でキャッシュレス決済の利用拡大が進んでおり、経費精算や資金管理の効率化を重視する動きが強まっている。TAViCA BIZの導入を通じて、両社は安全で便利なキャッシュレス環境の普及を進める考えだ。オリコは、2026年3月期を初年度とする中期経営計画で「中小企業にとって安全・安心・便利なキャッシュレス社会実現への貢献」を掲げており、今回の提携拡大もその一環と位置づける。
HISは旅行予約や法人出張支援を中心に事業を展開しており、観光や宿泊に強みをもつグループ企業と連携しながら、多忙な出張者を支えるサポート体制を整えている。カードの付帯特典には、空港ラウンジサービスや海外・国内旅行傷害保険、紛失・盗難補償なども含まれる。提供対象は法人代表者および個人事業主で、同一法人が最大3枚までのメンバーカードを発行できる仕様だ。
背景に法人経費の電子化と出張再開
HISがカード刷新に踏み切った背景には、コロナ禍後の海外出張の回復と、経費処理の電子化が急速に進む状況がある。同社は旅行事業の再成長と同時に、法人市場でのB2B取引比率を高める戦略を進めている。特に、出張者の利便性と安全対策を兼ね備えたサービスが求められるようになり、カードを軸とした付帯サービスの再構築が課題となっていた。
オリコ側も法人決済市場の成長をにらみ、提携商品を通じた新規会員獲得に力を入れている。
法人向けクレジット市場では、年会費無料の汎用カードや高還元率の新興サービスが相次いで登場している。価格比較サイトなどでは中小企業向けの一般カードが多数紹介されており、経費精算の明確化やクラウド会計ソフトとの連携機能が差別化の軸となっている。競争環境が厳しくなるなかで、旅行会社と信販会社の協業による付加価値型カードは、出張時の安心感を重視する層を意識した展開といえる。
HISの関係者は、法人顧客の利便性向上と出張支援を両立する決済インフラとしてTAViCA BIZを位置づけると説明する。
一方、オリエントコーポレーションは、中小企業の経費処理や資金繰りの効率化に寄与するとみており、キャッシュレス化推進の実証的取り組みと位置づけている。業界関係者からは、旅行関連サービスを含む法人カードの提供は珍しく、出張支援の差別化に有効だとの見方も出ている。
利用拡大と今後の注目点
HISは今回のTAViCA BIZを、個人向けカード「TAViCA」と並ぶブランドとして展開する方針だ。会員特典の追加やオンライン予約機能の強化を順次進める考えで、旅行サービスとの連携拡大を見据えている。
オリコは中期経営計画に基づき、法人会員取引のデジタル化を進めることで、企業決済市場の拡充を目指す。ビジネス出張とキャッシュレス決済の双方を接点とするこの提携は、企業間取引の電子化が進む流れの中で注目される動きとなりそうだ。