焼きあごだしを使ったラーメンチェーンを展開する株式会社ヒカリッチアソシエイツ(東京都中央区)は、新株予約権型クラウドファンディング募集を実施する。申し込みは9日19時30分開始を予定し、上限募集額は9999万円とする。調達資金はマーケティング費用や店舗設備投資費用などに充てる予定で、店舗運営とだし製造・研究開発をまたぐ投資判断や取引検討に影響しうる。
募集は株式投資型クラウドファンディングの新株予約権型で、同社は事業会社やCVCの出資実績があるとしている。グループ会社のヒカリッチフードサイエンス(HFS)が焼きあごや未利用魚のだしの製造・研究開発を担い、株式会社ヒカリッチアソシエイツが、だしを高付加価値化した店舗運営を行うことで一貫したサプライチェーンを構築し、「だしの総合企業」を目指す考えを示している。
上限9999万円
申込期間は2026年4月9日~4月22日で、払込期日は2026年5月20日とされる。新株予約権の数は9,999個を上限とし、上限募集額は99,990,000円とする。資金使途は、目標募集額達成時はマーケティング費用772万円と手数料217万円に充て、上限募集額達成時は追加分として店舗設備投資費用7,027万円と手数料1,981万円に充てる予定だとしている。
同社は「焼きあご塩らー麺たかはし」を首都圏を中心に全国13店舗・海外1店舗展開するほか、経営統合した「らぁ麺やまぐち」を含む姉妹ブランド2店舗を運営する。年間約100万人が来店し、創業16期目となる今期は売上高約10億円を計画しているという。類似上場企業として、光フードサービス<138A>[東証G]、INGS<245A>[東証G]、鉄人化ホールディングス<2404>[東証S]、ガーデン<274A>[東証S]、丸千代山岡家<3399>[東証S]を挙げた。
一方、同社は新株予約権者優待を設け、「焼きあご塩らー麺たかはし」で利用できる商品券、または家庭向けのだし商品などを提供するとしている。基準日は毎年8月末日で、基準日経過後にメールで申し込み方法と詳細を案内し、各優待は11月末ごろに郵送での提供を予定する。優待内容は2026年3月時点の内容で、変更や廃止になる場合があるとしている。
また、申し込みは特定投資家口座か否かで上限が分かれ、特定投資家口座以外からの申し込みは45個までとされる。特定投資家口座からの申し込みは990個を上限とし、特定投資家口座全体からの申し込みの上限は79,920,000円とされる。
調達の枠組みは、新株予約権を介して資金を募り、店舗投資とマーケティングに配分する設計となる。これを受け、外部資金の使途が店舗設備投資費用まで含む点は、出店・改装などの投資計画と連動しやすい構図となる。
設立2011年、13店と海外1店
ヒカリッチアソシエイツの髙橋夕佳代表は、地元・新潟の焼きあご文化を全国へ広めようと2011年に東京・茗荷谷でラーメン店を開業し、2015年に新宿で「焼きあご塩らー麺たかはし」をスタートさせたとしている。独学で「焼きあごらしさ」をスープやタレ、香味油など要素ごとに研究し、検証を重ねて味を確立したという経緯を示した。
店舗は国内に13、昨年12月にはマレーシア・クアラルンプールに新店舗をオープンした。ロードサイドや商業施設内の店舗では子ども向けラーメンセットを導入し、家族連れの来店を促進しているほか、「おさかなデータカード」などの食育活動にも取り組んでいるとしている。
同社は、だしの製造・研究開発を担うHFSと、店舗運営を担うヒカリッチアソシエイツを軸に、原料調達から製造、ブランド構築、店舗運営までを一貫して手がける垂直統合型のビジネスモデルを構築していると説明する。大手すしチェーンやコンビニチェーンなどとの協業の実績があり、自社監修商品も販売しているという。
だし分野では、資源枯渇や供給不安に直面しているとの認識を示す。日本の漁業・養殖業生産量がピーク時の約3分の1まで減少する中、魚介だしの業界では脂肪を蓄える前の小型の「未成魚(幼魚)」が重宝されることもあり、資源の枯渇や供給不安などの課題に直面しているそうだとしている。焼きあごだしも近年ではより貴重な素材となっているという。
HFSが製造研究、店舗は運営
同社は、未利用魚を原料として活用し、フードロス削減と水産加工業者の収入向上に貢献していきたい考えを示している。グループ会社のHFSが焼きあごや未利用魚のだしの製造・研究開発を担い、自社では、だしを高付加価値化した店舗運営を行うことで一貫したサプライチェーンを構築するとしている。
技術面では、2022年から2年間、東京大学大学院農学生命科学研究科の大西康夫教授と酵素を用いた水産加工技術について共同研究を行い、特許2件を共同出願している。原料魚にタンパク質分解酵素を働かせ、だし汁の官能評価を高める技術や、脱脂技術を用いた代替魚種による煮干し製法を挙げ、産地や漁期、魚種に依存しない原料調達と供給の安定化につなげる方針を述べた。
