ヒーハイストはロボット関節向け球面軸受の開発を拡大する。直動機器や半導体製造装置向けアライメントステージで培った球面軸受の開発・製造技術を基盤に、ヒューマノイドロボットの関節部などへの供給を進めてきた。転がり球面軸受(SRJ)と滑り球面軸受(SSJ)の2系統をそろえ、用途別に供給領域の拡大を図る。
球面軸受はSRJとSSJの2種類に分類される。SRJは可動部に予圧を付与した鋼球を配置する構造を採用し、高精度で低摩擦、小型の関節部品としての利用を想定する。SSJは従来、転がりタイプを使用していた顧客からの要望を受けて開発した滑りタイプの球面軸受で、SRJで培った球面加工技術を活用する。ロボットは筋肉の代わりにモーターで駆動する構造上、発熱抑制が課題となり、モーター負荷の低減が共通テーマとなっている。
ロボット採用20年以上
ロボット分野ではSRJが関節部品として採用されてきた実績がある。採用の歴史は20年以上前にさかのぼり、早稲田大学の二足歩行ロボット研究への提供が端緒となった。限られたスペースの中で可動域を確保できる部品構成を提案したことが採用につながった。SRJは高精度、低摩擦抵抗、小型化を特徴とし、モーター駆動に伴う発熱抑制に寄与するとの考え方から、関節部への適用が積み重なっている。
足元では、ロボット向け部品の供給に加え、球面軸受のモジュール化に関する相談も寄せられている。半導体製造装置関連分野への出荷も増加しており、直動機器やアライメントステージでの採用実績と並行して、ロボット分野への展開を加速している。
軸受市場では、精密機器やロボット、半導体製造装置向けを中心に、低摩擦、高負荷対応、絶縁、小型化といった要求が高まっている。軸受分野の製品情報サイト「イプロスものづくり」では、軸受カテゴリに116社が業務用製品を掲載し、ボールベアリング分野でも57社が掲載されている。カスタマイズ対応が標準的となり、用途ごとに求められる仕様や周辺部品との組み付け条件に応じた個別提案が前提となる環境だ。こうした競争環境のなか、ヒーハイストはSRJとSSJの2系統をそろえ、ロボット関節部を中心とした用途への対応力を高めている。
SRJとSSJの役割
SRJは可動部に予圧を付与した鋼球を配置する構造を採用し、ヒューマノイドロボットの関節部などに供給されてきた。ロボットはモーター駆動で各関節を制御するため発熱対策が課題となり、摩擦を抑制してモーター負荷を下げることが求められる。ヒーハイストはSRJの適用実績を背景に、ロボット分野での用途拡大を進めている。
SSJは、従来転がりタイプを使用していた顧客からの要望を受けて開発した滑りタイプの球面軸受で、SRJで培った球面加工技術をベースにしている。広い可動域と高い負荷耐性を特徴とし、球面の高精度加工に加え、レース部品の摺動表面処理に関するノウハウも盛り込んだ。転がり・滑りの双方を選択肢として用意することで、用途別の要求に合わせた提案余地を広げる。
供給や連携の枠組みでは、ヒーハイストが球面軸受の開発・製造を担い、ロボット研究や各種開発プロジェクトの関節部などで採用されてきた。現在は京都ヒューマノイドアソシエーション(KyohA)が掲げる、国産ヒューマノイド(人型ロボット)産業の再興を目指す開発プロジェクトにも参画している。球面軸受のモジュール化に関する相談も並行しており、部品単体の供給に加え、周辺部品を組み合わせた構成単位での提供を視野に入れる。
尾崎文彦専務は「転がり、滑りを問わず、細やかな要求への対応力やカスタマイズ提案が、多方面からの引き合いにつながっている」と話す。ロボット向け部品供給やモジュール化の検討、半導体製造装置関連分野への出荷増を同時に進め、SRJとSSJの両系統を軸に需要の取り込みを狙う。
