株式会社ヒダカラ(岐阜県飛騨市)は4月1日、新卒採用者の入社式をおこない、飛騨市出身と高山市出身の2名が入社した。昨年はヒダカラ初の新卒採用としてデザイナー職が1名入社しており、企画・営業職の採用は今回が初めてとなる。
2人はいずれもネット通販を基盤とした支援事業に従事する。株式会社ヒダカラは、地域で活躍できる人材の育成を掲げており、新卒採用の職種をデザイナーから企画・営業へ広げることで、事業運営を担う人材層の拡充を進めている。
新卒2名が4月1日入社
入社したのは、布施つくし(飛騨市出身)と谷口乃愛(高山市出身)の2名。布施は生まれ育った町である飛騨地域をより良くしたいとの思いからUターンを決断した。谷口は愛知県での学生生活を通じ、少子高齢化が進む地元・飛騨地域をもっと元気にしたい、貢献したいと考えるようになり、株式会社ヒダカラへの入社を選んだ。
株式会社ヒダカラは2019年創業で、岐阜県飛騨市に本社を置く地域商社として、飛騨の食材に特化した通販サイトの運営や商品開発、自治体支援などを手がけてきた。昨年のデザイナー職に続く2年連続の新卒採用となり、今年は企画・営業職で初の採用となる。
同社は、ブランド化した「飛騨のあばれ鮎」や、コロナ禍で誕生した詰め合わせ商品「飛騨のたから箱」を全国に販売してきた。「飛騨のたから箱」は累計2万件以上を全国に配送しており、産品の編集力と物流を組み合わせた事業を展開してきた。2021年には白川村の伝統食材「石豆富」を製造する「深山豆富店」を事業承継し、製造業にも参入している。
代表取締役の舩坂香菜子は、人口減少などで地域が大きく変化していることや、AIの登場で仕事の捉え方や取り組み方が急速に変わっていることを指摘し、変化を取り込みながら地域の価値を世界に伝えていくことが求められているとの認識を示した。新卒の企画・営業人材を迎え、通販を基盤とする支援事業を強化する考えだ。
同社は直近でも、飛騨で発生する資源を事業に結び付ける取り組みを進めている。3月6日には、廃棄シイタケ菌床を活用した「ペレット肥料」をクラウドファンディングで先行展開する計画を打ち出し、新商品開発を継続している。こうした事業展開と並行して、新卒採用を2年連続で実施し、今年は企画・営業職へと職種を広げた点が特徴だ。
外部環境では、人口構造の変化が雇用や地域産業の持続性に直結する課題となっている。飛騨市の2023年時点の人口は36,067人で、前回比9.4%減、高齢化率は44.2%に達する。自治体側がUターン・Iターン促進策を打ち出すなか、地元出身者が地元企業に就職し、域内でキャリアを築く経路を具体化する動きは、地域産業の担い手確保の観点からも重みを増している。
産品の域外販売を担う地域商社などでは、デジタル活用と人材構成の刷新が同時に問われやすい。中小企業庁の調査では、地方の食品流通企業で従業員の高齢化率が50%以上に達するケースも示されており、現場の営業・企画機能を誰が担うかが課題となっている。政府は「まち・ひと・しごと創生総合戦略」などを通じ、人材定着策やテレワークを含む地方就業の支援を進めており、通販を基盤にした地域商社の業務設計と若手企画・営業人材の確保は、事業継続に直結するテーマとなりつつある。
企画・営業職を初採用
今回の採用は企画・営業職が対象で、昨年のデザイナー職採用とは職種が異なる。入社した2名はネット通販を基盤とした支援事業に配属され、産品の企画や販路開拓、取引先との調整など、飛騨発の商品の価値を高める業務を担うことになるとみられる。採用人数は2名で、いずれも飛騨地域にゆかりのある人材だ。
代表取締役の舩坂は、変化の渦中にある株式会社ヒダカラでの挑戦を呼びかけ、2人の成長を会社全体で支えながら共に成長していきたいとの考えを示した。人材育成を掲げる方針のもと、通販を基盤とする支援事業に地元出身の新卒人材を配置し、将来の中核人材として育てていく狙いがある。
地域商社の採用広がり
地域商社は、地場産品の開発・編集や域外需要の獲得、自治体支援などを組み合わせる業態として各地で広がってきた。飛騨地域でも、食の加工・販売を通じて域内外の需要を取り込む動きがある。例えば食品関連では「老田屋」が飛騨市でラーメンを製造・販売し、高山市内の土産店やスーパーで取り扱うなど、地域食材を活用した商品展開が進む。こうした環境では、製造や商品づくりに加え、売り場づくりや取引先との調整、情報発信といった企画・営業機能の人材厚みが競争力に直結しやすい。
地方就業をめぐっては、国が地方創生テレワークの推進を掲げ、自治体・企業・支援制度を束ねる枠組みを整備してきた。都市部で学んだ若年層が地元に戻る選択をしやすくする政策が広がるなか、地元出身の新卒入社を前面に打ち出す採用は、地元就業の受け皿づくりとの連動が見込まれる。支援事業に従事する人材が増えるほど、自治体支援や商品開発の案件形成、域外配送を前提とした運営の選択肢が広がり、社内の役割設計が経営上の焦点となる。
