ヒビノは、フォトロン(東京都千代田区)から業務用映像機器の販売施工事業を取得する。取得価額は6億2700万円。対象事業は会社分割で設立する新会社に移し、ヒビノが全株式を取得する。映像分野の商材と技術を補強し、都市再開発やスタジアム・アリーナなど大規模案件の獲得体制を強化する。
取得対象は、フォトロンが担ってきた業務用映像機器の販売施工事業で、放送・映像制作領域で高い評価を得ている海外有力ブランドの機器を取り扱うのが特徴だ。日本市場で長年にわたり導入とサポートを手がけてきた販売網や技術要員を含めて引き継ぐことで、ヒビノは映像機器販売を音響機器販売に並ぶ事業規模へ拡大する戦略を加速させる。設計から導入、運用支援まで一体で提供できる体制を広げ、大規模プロジェクトでの提案力を高める狙いだ。
売上高49億円取得
対象事業の2025年3月期業績は売上高49億8000万円、営業利益1億7700万円だった。ヒビノは6億2700万円で新会社の全株式を取得し、規模のある販売施工事業を取り込む。映像分野での取り扱い商品の拡充に加え、放送局や制作会社、公共施設などで培われたシステム設計・施工のノウハウを獲得し、案件対応力の底上げを図る。
販売施工は、機器の単純な販売にとどまらず、システム全体の設計、現場への導入、運用後のサポートまで含む収益性の高い領域とされる。ヒビノにとっては、映像案件でのソリューション型ビジネスを拡充し、音響と映像を組み合わせた一括提案を強化するうえで重要な投資となる。
フォトロンは、昨年9月にMBO(経営陣による買収)を実施し株式を非公開化した映像制作大手IMAGICA GROUP(東京都港区)の傘下企業だ。グループ全体の事業ポートフォリオを見直す中で、業務用映像機器の販売施工事業を切り出し、ヒビノに引き継ぐ。フォトロン子会社で販売業務を担うメディア・ソリューションズ(東京都港区)は、フォトロン企画の子会社として組み込まれ、販売機能が新会社側に集約される。
取引スキームは会社分割を用いる。フォトロンは当該事業を切り出して新会社フォトロン企画(東京都千代田区)を設立し、ヒビノが2026年7月1日付でフォトロン企画の全株式を取得する。事業そのものに加え、販売・施工の実務機能や人材、取引関係を包括的に承継する構造となる。
会社分割で事業承継
事業はまずフォトロンからフォトロン企画へ会社分割により移され、そのうえでフォトロン企画の株式をヒビノが取得する二段階の承継となる。フォトロン企画には業務用映像機器の販売施工事業が集約され、同時にメディア・ソリューションズが子会社としてぶら下がる形となるため、販売業務の担い手が新会社側に一本化される。
長年にわたり海外有力ブランドの導入とサポートを担ってきた実績は、取引後も製品ラインアップや技術支援を安定的に提供するうえで重要な基盤となる。ヒビノは、音響分野で構築した顧客基盤や案件運営ノウハウと組み合わせることで、映像・音響双方を含む統合システムとしての提案を強める。都市再開発事業やスタジアム・アリーナ、商業施設などの常設案件に対し、設計段階から参画できる体制の構築を進める。
取引先側では、事業がフォトロン企画に集約された後にヒビノの傘下へ移ることで、契約主体やサポート窓口が順次切り替わる見通しだ。請求や保守対応を含めた運用スキームの整理を通じ、既存案件の継続性を確保しながら、ヒビノグループとしてのワンストップ対応に移行していくとみられる。ヒビノは今回の取得をテコに映像機器販売を拡充し、大型常設市場での存在感を一段と高める考えだ。
