株式会社平和(東京都台東区)は2月10日、2026年3月期通期の連結業績予想を下方修正するとともに、遊技機事業における繰延税金資産の取り崩しを実施すると発表した。主力の遊技機販売が計画を下回る見込みであり、当期純利益は従来予想を大幅に下回る見通しとなった。
同社は2025年5月に公表した当初予想を見直した結果、売上高・利益のいずれも減少する見通しを示した。特に親会社株主に帰属する当期純利益の減少幅が大きく、回収可能性を見極めたうえで繰延税金資産を一部取り崩す。主因は遊技機市場における需要の偏りと販売台数の低迷によるもので、ゴルフ事業の堅調さでは補いきれない構図となっている。
通期見通しを引き下げ
修正後の通期連結業績予想では、売上高を257,800百万円(前回予想は295,900百万円)とし、営業利益を42,500百万円、経常利益を31,700百万円へ引き下げた。売上高は約13%減、営業利益は約27%減、経常利益は約34%減の見込みで、親会社株主に帰属する当期純利益は7,900百万円と、従来見込みの23,100百万円から約66%減少する見通しだ。
一方、期末配当金の予想は40円とし、変更は行わない。前期(2025年3月期)の売上高は145,867百万円、営業利益は27,690百万円だった。今回の修正により2期連続の増収は保つものの、利益面では急減する可能性がある。
遊技機事業が想定下回る
減収減益の主因は遊技機事業の想定割れだ。パチンコホールの店舗数減少が続く中で市場規模の縮小傾向が強まり、需要が一部機種に集中した影響でパチンコ機・パチスロ機いずれも販売台数が期初計画を下回る見込みとなった。結果として、同事業の損益が全体の利益を大きく押し下げた。
ゴルフ事業については天候不順の影響が少なく、来場者数や顧客単価は堅調に推移しており、計画通りの進行を維持している。だが、同事業の営業規模は遊技機事業ほど大きくないため、業績全体の減速を食い止めるには至らなかった。
繰延税金資産を4,051百万円取り崩し
平和は遊技機事業において繰延税金資産の回収可能性を慎重に検討した結果、4,051百万円を法人税等調整額として計上する見込みを示した。今後の業績予想から、回収困難となる部分を精査して取り崩すもので、税効果会計における保守的な判断を取った形だ。
同社はこれにより最終利益の大幅な減額を見込むが、財務基盤の健全性を維持しながら、中長期的な収益構造の立て直しを図る方針とみられる。税効果会計上の調整は一時的な損益負担となるが、今後の業績動向に応じて再認識の可能性もある。
市場縮小が収益構造に影響
平和はパチンコ・パチスロの遊技機製造を主軸とし、ゴルフ場運営も展開している。市場環境の変化に合わせて事業ポートフォリオの多角化を進めてきたが、近年は業界構造の変化が続く。ホール数の減少や娯楽消費の多様化により、玩具・娯楽機器への支出が細分化している結果、従来型機種への需要が伸び悩んでいる。
遊技機市場では機種開発の集中が進み、特定銘柄に販売が偏る傾向が強まっている。このため、メーカー各社が在庫管理や投資判断の見直しを迫られており、需要変動が財務指標へ反映されやすい構造になっている。平和にとっても、製品周期の短期化と市場需要の偏在が利益の変動要因として顕在化している。
経営陣の見解と今後の注目点
平和の経営陣は、今回の下方修正について「遊技機市場での販売台数減少を踏まえた現実的な見直し」と説明し、計画修正が財務健全性を損なうものではないとの認識を示した。税効果会計の見直しを経て、今後は収益機会の分散化と固定費抑制を重点課題とする方針だ。
業績正常化へ構造転換が焦点
今回の業績予想の下方修正と繰延税金資産の取り崩しは、遊技機市場の変化に即した保守的な経営判断といえる。今後は、不採算リスクを抑えながら収益基盤を築く取り組みが注目される。事業構造や投資実行の柔軟性をどう確保するかが、次年度に向けた焦点となるだろう。