株式会社長谷工コーポレーション(東京都港区)は2月12日、2026年3月期第3四半期(2025年4月〜12月)の連結決算を発表した。売上高は8,931億円で前年同期比6.7%増、営業利益は638億円で同11.1%増と増収増益を確保した。親会社株主に帰属する四半期純利益は383億円と前年同期の約2.1倍に拡大し、連結範囲には2025年に子会社化したウッドフレンズグループを含む。
主力の建設関連事業でマンション建築工事が高水準に進み、完成工事総利益率が改善したことが寄与した。不動産関連事業も取扱量が増加し、管理運営事業の管理戸数拡大が収益に貢献した。一方で海外事業は棚卸資産評価損を計上し赤字を計上した。ウッドフレンズの取得により事業基盤を拡大し、木造・木質化を軸とした新たな住宅開発に取り組んでいる。
建設関連が牽引し売上8,900億円超
売上高は前年同期比6.7%増の8,931億円、営業利益は638億円(同11.1%増)、経常利益は611億円(同4.7%増)と堅調だった。親会社株主に帰属する四半期純利益は383億円で、前年同期の108.3%増と大幅な増益を達成した。包括利益も406億円と前年同期の17億円から大きく改善し、収益構造の安定性を示した。
親会社株主に帰属する四半期純利益は383億円で、前年同期の108.3%増と大幅な増益を達成した。包括利益も406億円と前年同期の17億円から大きく改善し、収益構造の安定性を示した。
セグメント別では、建設関連事業が売上高6,733億円(前年同期比8.7%増)で全体を牽引した。完成工事の採算改善と受注高水準が寄与し、営業利益は531億円(同26.6%増)と伸長した。
不動産関連事業は売上高1,704億円(同2.6%増)ながら、前年同期の高採算案件の反動もあり営業利益は194億円(同5.1%減)となった。
管理運営堅調、海外は損失計上
管理運営事業では、分譲・賃貸マンション管理の戸数が増加し、売上高は1,159億円(前年同期比9.3%増)、営業利益は55億円(同24.8%増)と増収増益を維持した。賃貸管理の受託を目的とする開発・売却案件も寄与した。
海外事業ではハワイ州オアフ島で商業施設運営と戸建分譲開発を進めているが、棚卸資産評価損39億円を計上したことから、営業損失は63億円(前年同期は42億円の損失)に拡大した。
第3四半期末の総資産は1兆3,146億円となり、前期末比506億円減少した。
連結純資産は5,292億円で、自己資本比率は40.2%と財務基盤を維持している。減少の主因は自己株式取得によるもので、同期間に8,314,500株(約200億円相当)を取得し、12月に消却を実施した。
ウッドフレンズ買収で木造住宅分野を拡充
2025年6月、長谷工コーポレーションは名古屋市を拠点とする株式会社ウッドフレンズの普通株式を公開買付けにより取得し、議決権比率90.38%を確保。
7月に株式売渡請求を実施し、全株を取得して完全子会社化した。取得総額は約25億円で、のれんの発生額は2億円超。のれんは金額的重要性が低いため即時償却した。
長谷工はマンションの木造共用棟や鉄筋コンクリート造と木造を組み合わせたハイブリッド住宅技術に注力しており、環境対応と住環境の質向上を両立する体制整備を進めている。
ウッドフレンズは林業から建築・販売までの一貫型事業を展開し、国産木材の循環利用を促す「木質資源カスケード事業」を推進してきた。両社の事業統合により、木造化・木質化分野での技術・供給ネットワークを強化する狙いだ。
受注増により建設需要を下支え
同社の2026年3月期第3四半期における受注高は4,901億円で前年同期比13.0%増となった。
特に民間分譲マンションが4,420億円と全体の9割以上を占め、前年同期比11.8%増。首都圏では200戸超の大規模物件14件を含む30件、近畿圏と東海圏で同11件を含む16件、合計46件の新規受注を獲得した。竣工は賃貸マンション等を含む計58件に達し、稼働水準の高さを維持している。
非住宅案件の受注は前年同期比約3.8倍の2,184億円に拡大した。
民間分譲と合わせた住宅系受注が増加する中で、業務受託やその他工事も含めた多様な案件構成となっている。これらの数値は、同社が住宅・非住宅の両軸で安定した受注ポートフォリオを形成していることを示す。
中期経営計画下で採算改善を継続
長谷工コーポレーションは2026年3月期を初年度とする新中期経営計画の下で、セグメント区分を「管理運営事業」と「海外事業」などに改め、事業の再構築を進めた。
建設関連では受注採算の改善を最優先課題とし、不動産関連では取扱件数の増加に合わせた利益率の安定化を図っている。こうした取り組みの結果、営業利益率は前年同期比0.3ポイント上昇した。
一方で、住宅市場の供給動向や金利動向など外部環境の変化は依然として不確実性を残す。特に供給コスト面での上昇や設備投資のタイミングが業績に影響を及ぼす可能性がある。同社は採算管理とコスト構造の最適化を継続的に進める姿勢を示している。
現行予想据え置き、通期で増益見通し
通期の連結業績予想は、売上高1兆2,400億円(前年同期比5.3%増)、営業利益970億円(同4.5%増)、経常利益900億円(同7.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益580億円(同8.4%増)とし、前回予想からの修正は行っていない。
期末配当は1株あたり45円を見込み、年間配当は前期比5円増の90円を予定している。
同社は、取得したウッドフレンズグループを活用し、木造住宅分野や環境配慮型開発でのシナジー創出を図る方針だ。
マンション工事・不動産流通・管理運営の一体運用を通じて、建設関連を核とする事業全体の持続的収益確保を進めていく構えである。