株式会社ハリマビステム(神奈川県横浜市)は2月6日、代表取締役の異動および役員人事、組織改編を決定したと発表した。6月26日付で阪本智紀常務執行役員営業本部長が代表取締役社長に昇格する予定で、免出一郎社長と鴻義久会長は任期満了に伴い退任する。経営環境の変化に対応し、持続的な成長を狙う新体制の始動となる。
阪本氏は4月1日付で副社長執行役員営業本部担当に昇進し、6月26日の定時株主総会と取締役会決議を経て社長に就任する。新体制は、変化の激しい事業環境に対応するための迅速な意思決定や中長期的な企業価値向上を目的とする。同社は同時に組織改編も実施し、経営企画本部を分割するほか業務DX分野を強化する。
経営企画本部を分割し新体制へ
今回の人事異動に合わせ、ハリマビステムは4月1日付で経営企画本部を「経営企画本部」と「コーポレート本部」に分割する。新経営企画本部は新規事業・海外事業を含む成長戦略の立案やグループ会社の管理体制強化を担い、コーポレート本部は総務・経理・人事企画・情報システムなどの管理部門をまとめる。両本部の役割を明確化し、ガバナンスの精度と意思決定の速度を高める狙いだ。
また、品質管理推進部には「業務DX・ロボット推進グループ」を新設する。これは中期経営計画で重点施策に掲げる「ロボット・AI活用による業務効率化」を推し進めるための措置で、営業企画部内で特命事項だったDX対応を専門部署として明確化する。
組織改編によって、デジタル活用と品質向上を一体で進める体制を整える。
新社長に阪本智紀氏 営業本部から経営トップへ
新社長に就任予定の阪本智紀氏は1971年生まれ。1994年に関東学院大学経済学部を卒業後、同年ハリマビステムに入社した。経営企画や工務、エンジニアリング部門を経て、神奈川本部や経営企画本部などで要職を歴任。
2025年時点では常務執行役員営業本部長を務める。現場と経営の両面を経験した管理職として、顧客対応やサービス品質面の強化を重視する姿勢で知られる。
経営企画本部長の川﨑竜哉氏、神奈川本部長の山本竹範氏、関西・名古屋地区担当の松谷浩幸氏も取締役常務執行役員へ昇進する。
グループ各地域・事業部門の責任者が取締役陣に加わる形となり、現場と経営の一体運営を強化する構造だ。4月には新たに4名の執行役員を選任し、営業・エンジニアリング・人事情報など各機能を分担する体制を整える。
支店集約と業務効率化も加速
組織再編では、東京第二事業部に「東京2−3グループ」を新設する。
これに伴い埼玉支店を廃止し、千葉支店を移転のうえ、各支店に所属する物件管理を首都圏本部に集約する。運営・収益両面での効率化を図る施策であり、多拠点運営によるコスト分散の是正を目指す。東京本部を中核に据えた首都圏の運営強化が今後の焦点となる。
このほか、品質管理推進部は業務DX推進と連携し、現場作業の安全・品質両面での標準化を進める。社内の管理スパンを適正化し、各本部の意思決定権限を整理することで、施策の迅速な実行につなげる構想だ。
これらは、グループ拡大に伴う業務の多様化と外部環境変化への対応力を高めることを目的としている。
創業からの沿革と経営環境の変化
ハリマビステムは建物総合管理や清掃・設備メンテナンスを中心に事業を展開してきた。1960年代の創業以来、首都圏・関西圏に営業拠点を広げ、グループ会社として協栄ビル管理、アイワサービス、ビステム・クリーンなどを擁する。
子会社・関連会社の拡大により事業領域が多様化し、近年は商業施設や公共施設のPFI案件など大規模プロジェクトへの参画が増加している。
外部環境では、ビルメンテナンス業界全体が人手不足とコスト上昇に直面している。
特に人件費の上昇やエネルギーコストの高止まりが利益構造に影響を与えており、DXや省人化の取組みの重要性が高まる。同社はこうした環境下で、効率的運営と品質維持の両立を課題としてきた。今回の体制再編はこの市場構造変化への適応策の一環といえる。
人事・ガバナンス体制の再構築進む
取締役・執行役員の人事においては、業務DX、品質管理、経営企画といった各本部長クラスが兼務から専任に切り替わる。
これにより、職責の重複を解消し、責任権限を明確化する。ハリマビステムの経営課題であった管理スパンの広さを是正し、現場主導の意思決定を迅速化する仕組みに転換するものだ。
また、ガバナンス面では、社外取締役として布施明正氏が再任される予定である。
社外の視点を取り入れた経営監督体制を維持し、透明性の確保を図る。同社は、分権と統制の両立を重視しながら、事業部門の自律性を保つ形での経営監視を進める方針を示している。
関係者の見方と社内の狙い
関係者によると、今回の阪本氏の昇格は営業現場での組織運営経験を評価したものとされる。長年にわたり顧客や現場との接点を活かして経営企画にも携わり、実務と戦略両面に通じている点が重視された。
業界関係者の間では、営業部門出身者がトップに立つことで、受注対応から施工・維持管理までの一連工程の最適化が進むとの見方もある。
成長軸再編と次の注目点
6月の定時株主総会後には、新たな取締役体制が正式に発足する予定。
経営企画とコーポレート機能の分離、DX推進部署の設置、地域本部統合など、一連の構造改革を支える実務体制が整う。中期経営計画で掲げる「ロボット・AI活用による業務効率化」と「グループ管理強化」は、今後の施策の中心となる。
ハリマビステムの代表取締役社長交代は、事業多角化とデジタル活用の両立を目指す流れの中で進む経営刷新の一環といえる。
